はじめまして!オレンチと申します。
今回は映画の見方がちょっと変わるかもしれない【モンタージュ理論】についてお話していきます。
モンタージュとは全く意味の異なる2つ以上の画像・もしくは映像を繋ぎ合わせることによって、新たな意味をもたらす技法のことを言います。
例えばですが下記の画像を見てください。
うさぎの映像だけでは「動物が写っている」以外に意味を持ちませんが、うさぎのカットの後に煙突のカットが映ると「環境汚染による動物の被害」を連想させることができます。
もう少し例を出します。
男性のカットの後でお墓のカットが映ると、前のカットの男性が故人であることを連想すると思います。
しかし、
お墓のカットをセクシーなカットに置き換えると、男性の欲望を連想させることができ、同じ男性のカットでもモンタージュのさせ方によって全く異なる印象を与えることができるのです。
これがモンタージュという技法です。
ちなみにモンタージュ理論は大きく分けて「エイゼンシュテイン・モンタージュ」と「グリフィス・モンタージュ」という2種類が存在しています。
エイゼンシュテイン・モンタージュ
前章の『モンタージュ理論とは』で解説した【Aのカット】と【Bのカット】を組み合わせることで【Cの意味】を生み出すモンタージュをエイゼンシュテイン・モンタージュと呼びます。
エイゼンシュテイン・モンタージュはソ連の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインが生み出したとされる技法で、『戦艦ポチョムキン』のオデッサの階段シーンが最も有名です。
「オデッサの階段」はブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』でオマージュされたことでも有名ですね。
グリフィス・モンタージュ
一方のグリフィス・モンタージュとは、複数のカメラで同時撮影し、様々な角度(マルチアングル)から1つのシーンを演出する技法。劇映画の祖とも言えるD・W・グリフィスが『イントレランス』の中で生み出した技法として知られています。
グリフィス・モンタージュを生み出したとされる『イントレランス』
グリフィス・モンタージュは多大な予算がかかることから、映画史の中で敬遠されてきましたが、黒澤明が『七人の侍』の戦闘シーンで利用し、そのダイナミックさに感化されたスティーヴン・スピルバーグらが多用したことから、今ではハリウッドの標準となっています。
つまりエイゼンシュテイン・モンタージュの目的は新しい意味を創造することであるのに対し、グリフィス・モンタージュの目的はダイナミックな映像を作ることであるということです。
グリフィス・モンタージュは同時撮影したものを時間軸に沿って編集していくため、基本的に30秒のシーンであれば30秒として編集されます。
エイゼンシュテイン・モンタージュの場合は『戦艦ポチョムキン』における「オデッサの階段」が代表するように、メインとなるカットに新たな意味を吹き込むサブ的なカットが挿入されるため、メインとなる時間の流れが1分だったとしても、30秒として編集されたり、3分として編集されたりします。