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映画の楽しみ方(脚本編)『三幕構成』

「脚本とは技術であり、芸術である。」

──シド・フィールド(脚本家)

オレンチ

はじめまして!オレンチと申します。

今回はハリウッドのほとんど作品で採用されているという脚本術、三幕構成について解説していきます。

三幕構成を理解すると映画がさらに理解しやすく、さらに楽しくなるので是非チェックしてみてください。

三幕構成とは

三幕構成とは脚本家シド・フィールドが提唱した脚本術で、その名の通り映画を「第一幕」「第二幕」「第三幕」という3つのチャプターに分けたパラダイム(見取り図)のことです。

ハリウッドではほとんどの作品が三幕構成で構成されています。

つまり三幕構成とは《映画の見取り図》ということです。

3つのチャプターはそれぞれ役割を持っており、

  • 第一幕:状況設定
  • 第二幕:葛藤
  • 第三幕:解決

と言うように分けられます。

オレンチ

見取り図を知っていると、ストーリーの前後で意外な繋がりを発見できたりするよ!

プロットポイント

第一幕は[プロットポイント1]によって第二幕へ、第二幕は[プロットポイント2]によって第三幕へと移行します。

プロットポイントとは物語に新しい展開を生む事件のことで、例えばディザスター映画の場合は【火山の噴火】や【地震の発生】などを指します。

要するに映画の雰囲気をガラリと変える出来事ということですね。

比率は1:2:1

第一幕、第二幕、第三幕の比率は1:2:1となります。

映画の上映時間がどれだけ変わってもその比率は変わりません。

例えば120分の映画と180分の映画の三幕構成の比率を表すと以下のようになります。(10分くらい前後します。)

120分の映画

  • 第一幕:30分〜40分
  • 第二幕:60分〜70分
  • 第三幕:30分〜40分

180分の映画

  • 第一幕:45分〜55分
  • 第二幕:90分〜100分
  • 第三幕:45分〜55分

第一幕

第一幕は【状況設定】です。

【状況設定】では登場人物の設定、舞台の設定、時代の設定、登場人物同士の関係などを描きストーリーの土台を作っていきます。

第一幕によって”この映画に興味を持てそうか否か”が決まります。

観客を物語に引き込むと言う意味で非常に重要な役割を担っています。

『アイアンマン』はトニー・スタークがテロリストに襲われるシーンから始まります。そしてすぐに数時間前までさかのぼり、トニーの人物像や友人関係を提示し、彼の経済力と技術力を提示します。これを約40分ほどで描いています。

『グレイテスト・ショーマン』はP.T.バーナムの幼少時代から結婚、自分の劇団が軌道に乗るまでを約30分で描いています。

プロットポイント1

プロットポイント1は第一幕から第二幕へと物語が進む重大な事件のことです。

派手な事件もあれば静かな事件もあり、その移り変わりかたは様々。

この事件によって主人公を取り巻く環境は決定的に変化し、主人公を物語の本題へと引き摺り込むのです。

『アイアンマン』は126分の映画なので第一幕はおおよそ30〜40分ほどになり、40分あたりでトニー・スタークはプロトタイプで洞窟を脱出することでアイアンマンとなる道を志します。

これが『アイアンマン』の第一プロットポイントです。

『グレイテスト・ショーマン』は105分の映画なので第一幕はおおよそ20分〜30分ほどになり、30分あたりで『Come Alive』が演奏されバーナムの劇団が軌道に乗ったことを示します。

これが『グレイテスト・ショーマン』の第一プロットポイントです。

『ダークナイト』は152分の映画なので第一幕はおおよそ40〜50分程度になり、50分あたりでジョーカーがブルース・ウェインのパーティーに乗り込み、二人の対立が本格化します。

これが『ダークナイト』第一プロットポイントです。

第二幕

第二幕は【葛藤】です。

第二幕では、主人公が目的を果たすために越えるべき様々な壁が立ちはだかります。これが葛藤です。

シド・フィールドは「すべてのドラマは葛藤である。」と言っています。

葛藤とは物語の本題──、つまり第二幕からが映画の本題と言い換えることができるでしょう。

『レインマン』は遺産目当ての弟チャーリー(トム・クルーズ)とサヴァン症候群の兄レイモンド(ダスティン・ホフマン)の物語です。

第二幕から二人をロードームービー的に描き物語が進んでいきます。

『メン・イン・ブラック』は二人のエージェント、K(トミー・リー・ジョーンズ)とJ(ウィル・スミス)がゴキブリ型のエイリアン、バグの後を追う物語です。第二幕では徐々に二人がバグに近づいていく様を描いています。

プロットポイント2

プロットポイント2によって物語は第二幕から第三幕へと転がります。

第二幕で与えられた様々な壁の中で最も大きな壁となる事件が第二幕であり、プロットポイント2で主人公の内面(外面に影響を及ぼす場合もある)は大きく変化します。

『トイ・ストーリー』では自分がおもちゃだと知り落ち込むバズに、ウッディが本心を告白し二人に真の友情が芽生えます。そしてシドの部屋のおもちゃを説得し、バズの救出作戦へと進んでいきます。

『アナと雪の女王』ではハンス王子が物語の黒幕だということが明かされ、アナの心に変化が起きます。

第三幕

第三幕は【解決】です。

プロットポイント2を乗り越えた変化(成長)した主要人物が、その変化(成長)を証明する物語の集大成と言えます。

また物語というものは始まった場所に戻ってくる場合が多く、第三幕の舞台とオープニングの舞台は同じであることが多いです。

『マトリックス』はプロットポイント2でネオが、自分が救世主であることを自認し始めて対等の力でエージェント・スミスと対峙します。

『ハムナプトラ』はようやく失われた都”ハムナプトラ”にたどり着き、イムホテップとの最終決戦が行われます。

まとめ

というわけで三幕構成についてやさしく解説してきました。

三幕構成を意識して映画鑑賞するとビックリするくらい物語の理解が進みます。

シーンの前後関係や、オープニングとエンディングの繋がりなど様々なことが見えてきます。

1回目は直感で観て、2回目以降に三幕構成を意識してみてください!

オレンチ

いろいろ解説したけど、1回目は何も考えずに直感で観ることが何よりも映画を楽しむ秘訣だと思う!

もっと詳しく三幕構成について知りたい人は、シド・フィールドの『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』がおすすめです。

ぜひ一度読んでみてくださいね!

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