映画だらけのオレンチ 
目次
- 原点回帰！？第一作を思わせるショットの作り方に注目！
- 列車シーンは古典アクション映画へのラブレター！？
- トム・クルーズとクリストファー・マッカリー（監督）の関係性を表したタイトルにも注目！
| オススメ度 | (4/5) |
| 公開日 | 2023年 |
| 制作国 | アメリカ |
| 上映時間 | 164分 |
| ジャンル | アクション スパイ |
IMFのエージェント、イーサン・ハントに、新たなミッションが課される。それは、全人類を脅かす新兵器を悪の手に渡る前に見つけ出すというものだった。しかし、そんなイーサンに、IMF所属以前の彼の過去を知るある男が迫り、世界各地で命を懸けた攻防を繰り広げることになる。今回のミッションはいかなる犠牲を払ってでも達成せねばならず、イーサンは仲間のためにも決断を迫られることになる。
映画.comより引用
『ミッション：インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は2023年に公開されたトム・クルーズがプロデュースするスパイアクションシリーズの第７弾。
監督は前作『ミッション：インポッシブル/フォールアウト』から引き続きクリストファー・マッカリーで、トム・クルーズとクリストファー・マッカリーはこれまで多くの作品でタッグを組んでいます。
その理由の一つとして、制作を進めながら脚本を組み立てていくという映画作りの方向性が合っていたからという点があります。
本作のタイトルであるデッドレコニングとは、航海術における最後に確認された位置情報にのみ基づいて航路を計算することで、基本的には盲目的に航海を続ける状況のことを言います。
このタイトルは本作のミッションへの暗喩にもなっていて、イーサンやその他の登場人物の運命へのメタファーにもなっています。
しかしさらに俯瞰して考えてみると、トム・クルーズとクリストファー・マッカリーの映画制作のプロセスを表しているようにも見えてこないでしょうか。
つまりデッドレコニングというタイトルは『ミッション』シリーズの制作プロセスを体現したタイトルのように思えます。
『フォールアウト』のオファーを受けたクリストファー・マッカリーはシリーズの監督を毎回変えてきた意図に気づいており、『ローグ・ネイション』とは全く違うアプローチを取ることを条件に承諾。その精神は間違いなく本作にも生かされていました。
第一にわかりやすいのはテーマに合わせた画角の違い。
『フォールアウト』にはCIAやIMFといった組織間の対立がテーマにあったので、画角内に複数人が収まるミドルショットを多用し、組織間の対立や力関係を表現していましたが、本作『デッドレコニング１』の構図は全く異なり、ダッチアングル（斜め）で煽りのショットを多用しています。
このダッチアングルな煽りショットには大きな役割を持っており、
その役割というのが、原点回帰です。本作は『ミッション：インポッシブル』よりも過去に生まれた葛藤が描かれており、その鍵を握るのがガブリエル（イーサイ・モラレス）という存在です。ともするとガブリエルは今のイーサンを作り上げた人物と言えるかもしれません。
そうなると1作目を思い起こさせるのは必然といえば必然で、キトリッジ（ヘンリー・ツェニー）が1作目以来の再登場したり、見せ場の一つとして列車のロケーションも用意されていました。
つまり『デッドレコニング１』は画角を利用して、1作目を思い起こさせるように作り込まれているんです。
また『ミッション』シリーズについて語るなら、避けては通れないのがトム・クルーズによる限界突破したスタントの数々ですが、今回の最もな見せ場となるバイクジャンプのシーンは様々な角度から撮影する必要があるため、驚くべきことに複数回のテイクをこなしたようです。
さらに実際に列車（オリエント急行）の上を疾走するシーンがありますが、これにはノースタントの祖、バスター・キートンの大傑作『キートンの大列車追跡』を意識しているようにも思えました。
そんなわけで『ミッション：インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』、気になる方は是非ご鑑賞ください。
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