こんにちは!オレンチです!
マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)の《総清算》だった『アベンジャーズ/エンドゲーム』(以下、『エンドゲーム』)から早2ヶ月ですねー。
実写化されたスパイダーマンとしては実に7作目!それでいてMCUフェイズ3のラストを飾るんですから、スパイダーマンの根強い人気を感じざるを得ないですよね。
ちなみに本作のピーターパーカー a.k.a スパイダーマン役であるトム・ホランドは最もスパイダーマン役を演じた俳優として記録更新なんですよ。知ってました?
初代ピーター・パーカーのトビー・マグガイアは『スパイダーマン』〜『スパイダーマン3』までの3作。
2代目ピーター・パーカーのアンドリュー・ガーフィールドは『アメイジングスパイダーマン』、『アメイジングスパイダーマン2』の2作(2作で終わったのが未だに悔やまれる…)
そして3代目ピーター・パーカーのトム・ホランドは『シビルウォー/キャプテンアメリカ』、『スパイダーマン:ホームカミング』、『アベンジャーズ/インフィニティウォー』、『エンドゲーム』そして本作『スパイダーマン:ファーフロムホーム』の計5作!!
おそらく次のスパイダーマンもトム・ホランドが演じるでしょうし、今後も楽しみですねー!
と、前置きが長くなってしまいましたが『スパイダーマン:ファーフロムホーム』(以下、『ファーフロムホーム』)の感想言ってみましょ。
この先はがっつりネタバレしているのでお気をつけください。
次のアイアンマンは誰だ
映画の脚本術には《三幕構成》というものがありまして。ハリウッド映画のほとんど…というよりほぼ全ての作品が《三幕構成》で作られています。
《三幕構成》とは
- 第一幕:「設定」
- 第二幕:「葛藤」
- 第三幕:「解決」
で構成され、1:2:1の配分で作られています。
例えば120分の映画の場合、第一幕はおよそ30分になります。
ちなみにハリウッドには《起承転結》という概念は無いのでそう感じたのなら多分それは気のせいかも。
なんでこんな話をしたかというとMCUは《三幕構成》が良くできていて、特に本作の「第一幕」は良くできていたんじゃないかなーと思うのです。
「《三幕構成》がしっかりしていればしているほど、観やすい映画になる」と言っても過言ではないです。このルールを守らないと玄人向けの超難解映画、もしくはクソつまらない映画のどちらかに分類されるはず。
まずオープニングでエレメンタルズとミステリオを登場させることで、映画のスケールを印象付け、それと同時にミステリオが本作の物語に重要な人物であることを刷り込ませています。
お馴染みのマーベルロゴのショットを挟み、
続くシーンでは学園内のニュースを通して、時系列の説明をします。ここで本作が『エンドゲーム』の後日談ということが明確に示され、5年のパラドクス(消されなかった人は5年成長している)も説明されます。
この学園内ニュースのショットは前作『ホームカミング』で多く挿入されていたわけですが、これを使うことで『ホームカミング』の続編だということをわかりやすくしていて、とても良い踏襲の仕方だと思います。
また5年のパラドクスという設定を利用し、サブプロットに対してスムーズに敵役を作ってますね。(後述します。)
さてさて、《サノスの指パッチン》と《アイアンマンの死》という二つの大事件の後、人々の関心は「次のアイアンマンは誰なのか?」です。
つまり本作のメインテーマは、
「誰がトニー・スタークの跡を継ぎ地球を守るのか」
です。
このテーマを、スパイダーマンへのインタビューという形でピーターに投げかけ、壁画を眺めながら葛藤させていますね。
「誰がトニー・スタークの跡を継ぎ地球を守るのか」という葛藤が、のちの展開に強烈に効いてきたりもします。
とまぁメインテーマの提示まで非常にスムーズな作品なんですよ。
「なるほど、そういう話か。」と「第一幕」を見れば一目瞭然なんですよね。
ちなみに本作のメインテーマはフェイズ3、インフィニットサーガを締める作品とって最高のテーマだと思うので気になる人は最後まで読んでいったほうがよろし!
恋のヨーロッパ紀行
さてさて映画にはメインテーマ、メインストーリーの他にもサブプロットというものが存在しましてですね。
今回のサブプロットはといえば、MJとのラブストーリーになるわけです。
ここで面白いなぁと思うのが、単にピーターとMJだけのラブストーリーに留めず、その他の登場人物たちにもラブストーリーを設けたことです。
ネッドとベティ。ハッピーとメイおばさん。そしてピーターとMJ。またサブプロットを盛り上げるためにブラッドという恋敵も用意されていましたね。
こうすることによって不要なキャラクターがいなくなり、作品のカラー・雰囲気がしっかりと固まります。
ちなみにニック・フューリーにピーターが出会うあたりで「第一幕」から「第二幕」へのターニングポイントになりますが、実に見事な「第一幕:設定」だということがお分かりいただけたんじゃないでしょうか。
『ファーフロムホーム』というタイトル通り、故郷を遠く離れるわけですが、監督のジョン・ワッツはスパイダーマンをニューヨークから離すのが好きなんですかね。
ただ前回『ホームカミング』でスウィングを封印されてしまったアクションより、今回のヴェネチア&プラハで魅せたスウィングアクションの方が十二分に見応えがありましたね。
なんだかんだスウィングありきのスパイダーマンだなぁと思います。
というわけでトニーの死を引きづりつつ、エレメンタルズという化物に翻弄されながらもMJとの恋を成熟させたいピーター・パーカーの物語が始まるわけです。
裏切り?イヤイヤ理想のミステリオ!
裏をかいてヴィランなのか?裏の裏をかいて本当にヒーローなのか?いやいや裏の裏の裏を…などとこぞってファンを混乱させたミステリオさんでしたがっ…!
結局のところ世界中の人々の予想どおりメインヴィランでした!!
異次元からやってきたわけでもなく、エレメンタルズもコイツの自演だったというとんだインチキ野郎だったわけですが、
面白いのはミステリオもまた、トニー・スタークの死を引きずっているという点です。
ミステリオの場合、憎しみという負の感情ですが、ヴィランにも地に足が着いたバックボーンがあることで物語に真実味が生まれていると思うんですよ。
ヒーローとヴィランの両者が、表裏一体の構図になっている関係は往々にして面白いです。(『ダークナイト』が良い例)
さてさて、物語のミッドポイントとなるミステリオが豹変するシーン。
ジェイク・ギレンホールの腕の見せ所のようなシーンでしたが、ここでもトニー・スタークの死が作用しています。
トニーの後継者に葛藤していたピーターが、ミステリオに大いなる力を与えてしまうのです。
これはミッドポイントによくある《偽りの解決》です。
あたかもピーターの葛藤が解決したかのように見せ、実はどん底に突き落とすことで物語を大きく前へと進めるのです。
このように本作はトニーの死が常に漂っていて、『エンドゲーム 』の後じゃ無いと成立しない話だなぁとつくづく思います。
にしてもミステリオの能力を現代版にアレンジしたアイデアは見事でしたね!
まさかホログラムで翻弄されるとは思っても見なかったです。
前作『ホームカミング』のヴァルチャーもそうでしたが、監督のジョン・ワッツはヴィランの装備に対してのリアリティにかなりこだわりを持っていますね。
ホログラムに翻弄されるシーンは次の展開が読めないように上下左右360度フルに使った素晴らしいシーンでしたが、VFXなどのポストプロダクションを監修するヴィクトリア・アロンソの功績がでかいと思います。
この方はほぼ全てのMCU作品に関わっていて、なんでも1フレームレベルで映像をチェックするんだとか笑
みんなトニーを卒業しよう!
さてさてベックことミステリオに裏切られ、満身創痍のスパイダーマン。
結局トニー・スタークの後継者に対する葛藤は解決しておらず、心も体もボロボロ状態です。
そこへハッピーがピーターに諭します。
「俺も寂しい。」
「誰もトニーの代わりなんて出来やしない。それはトニー自身だって。」
つまり、
トニー・スタークになろうとせず、自分らしくを貫け。
ということですよね。
この言葉を聞いた瞬間、ピーター・パーカーはある殻を破ります。
その殻とは先ほどから何度も出てきていた《トニー・スタークの死》に対してです。
ピーターはトニー・スタークの死を乗り越え、ミステリオと再び激突する決心をつけます。
アップグレードスーツを作るピーターの姿は、レッド・ツェッペリンの助けもあって『アイアンマン』とダブり、何とも感慨深いショットでしたね。
さてさて、ここまでで『ファーフロムホーム』が観客に伝えたかったこととは、
ファンのみんなもトニーの死を乗り越えて!
ということだと思います。
『エンドゲーム』でトニー・スタークの死を目撃してから、どうしてもモヤモヤが残っていたんですよ。
だってトニーの死を見守る皆は揃いも揃って悲しそうじゃありませんか。どうも湿っぽくて。
当然トニー・スタークの死を受け入れられなかったファンも多くいるはずで、だからこそ『ファーフロムホーム』のピーターやハッピーに強く共感したんだと思います。
そして本作のピーターやハッピーを通じて、共にトニー・スタークの死を受け入れさせる構図になっていたんだと思います。
あの活き活きとしたアップグレードスーツを作るピーターの姿を見せることで、我々観客に対してもトニー・スタークを卒業させようとしたんですね。
つまるところピーターを媒介にした巨大なメタ構造になっていたんですね。
そう思うとフェイズ3の最後の作品としては最高の出来上がりなんじゃないでしょうか。
エンドロール後
今回も当然ながらエンドロール後のおまけ映像がありましたねー!
しかもそのおまけというのがJJJことJ・ジョナ・ジェイムソン!!!
とまぁ、ここまでだったら別に大騒ぎするほどのオマケじゃないんですが、ジェイムソンを演じていた役者というのがまさかのJ・K・シモンズw
まさかまさかの続投ですw
知らない方にかるーく説明すると、スパイダーマンの宿敵がグリーン・ゴブリンやヴェノムならば、ピーターパーカーの宿敵はジェイムソン!といっても過言ではないキャラクターでして、過去トビー・マグガイア版の『スパイダーマン』〜『スパイダーマン3』でジェイムソンを演じていた人と同じ人が出てきたというサプライズですw
いやはや、一瞬混乱しましたよw
「あれ?ゴードン警部?イヤイヤ、フレッチャー先生?ちゃうちゃうジェイムソンや!!!」
ってな感じでw
続投するとは思っても見なかったので、脳内が一瞬バグを起こしたみたいですw
にしてもやはりニューヨークでスウィングする姿は段違いで良いですね〜。帰ってきた感というかホッとした感がすごかったw
さらにさらに、ニック・フューリーは大きく宇宙に飛び出し、新たなるシールドの基地をこさえてましたねw
フェイズ4以降は、『シークレットウォーズ』なんて噂もありますし、今後は大きく宇宙にも比重が寄っていくことでしょう。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol3』ではアダムが登場するでしょうし、『アダム』単独作なんてこともありえるかも?
おそらく『X-MEN』も合流することですし、まだまだ展開が楽しみですねMCUは!
10年後、スーパーヴィランのギャラクタスと合間見える瞬間を楽しみにしています!!