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【解説】『TENET テネット』ネタバレ感想・伏線・考察など|難解そうなので図解で分かりやすくしました

こんにちは!オレンチです!

今回はクリストファー・ノーラン監督最新作『テネット』について話していきたいと思います!

さらにコロナ禍の影響があって、2020年に入って初めて劇場行きました!

久しぶりで楽しかった〜!

というわけで早速『テネット』について話してこうと思います!

まだ1回しか鑑賞していない状態での記事なのでお手わらやかにどうぞ!

監督・スタッフ

  • 監督:クリストファー・ノーラン
  • 制作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
  • 制作総指揮:トーマス・ヘイスリップ
  • 脚本:クリストファー・ノーラン
  • 撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
  • 美術:ネイサン・クロウリー
  • 衣装:ジェフリー・カーランド
  • 編集:ジェニファー・レイム
  • 音楽:ルドウィグ・ゴランソン

キャスト

  • 名も泣き男:ジョン・デヴィッド・ワシントン
  • ニール:ロバート・パティンソン
  • キャット:エリザベス・デビッキ
  • セイター:ケネス・ブラナー
  • プリヤ:ディンプル・カパディア
  • アイヴス:アーロン・テイラー=ジョンソン
  • マヒア:ヒメーシュ・パテル
  • バーバラ:クレマンス・ポエジー
  • クロスビー:マイケル・ケイン

ネタバレあり感想・解説・考察

『テネット』をより「理解する」「楽しむ」には本作に定められた《ルール》を理解する必要がありますね。

ノーラン作品で言うと、『インセプション』(10)にかなり近いと思います。『インセプション』は《夢》の概念がかなり独特に描かれていましたよね。

ノーラン作品の中でも『インセプション』が特に好きな人にとっては『テネット』もハマりやすいかもしれませんね。

『テネット』の時間は”逆行”する

本作の冒頭や、公開から1年ほど前に映画館で流れていた本編ちょい見せ映像「オペラ劇場のシーン」で、壁に打ち込まれた銃弾が逆再生したかのように銃口に戻るシーンを見て、「はっ!?」と思った人は多いですよね。

ボクも本編ちょい見せ映像を見て、長らく謎と期待が心の中で蠢きあってました。

そんな気持ちへのアンサーとして、

今回クリストファー・ノーラン監督が新たに打ち出した概念が「時間の逆行」です。

本来時間というものは一方通行に真っ直ぐ進むもので、これを《順行》とします。

《順行》の対義語、その逆を表すのが《逆行》です。

常識的に考えて時間を《逆行》することはできないですよね。

しかし時間の《逆行》を可能にしただけでなく、《順行》《逆行》を共存させたのが『テネット』なんです。

そして時間の《逆行》を可能にするのが《回転扉》と呼ばれる装置で、『テネット』の全ては《回転扉》を起点に動いています。

《回転扉》を通って反対側の部屋から出ることで時間の《逆行》がスタートし、そこからは1分60秒のスピードで時間を逆行し続けます。

例えば本作が後半に差し掛かるカーチェイスのシーンを例に図解してみます。

吹き出しを左から順番に読んでいくと、最初に見たカーチェイスのシーンが再現されると思います。

なぜ「目の前に車がクラッシュして横たわっていたのか」というのは《逆行》のシーンを見ればよく分かりますよね。

ただカーチェイスのシーンでひとつわからない点があって、《順行》にいるはずの名もなき男とニールが乗るBMWのサイドミラーが最初から割れてるんですよね。

そのサイドミラーは《逆行》するセイターの車と接触することで元通りに戻るんです。

つまりBMWの一部は《逆行》していた─逆行弾のような現象が起こっているのですがその理由がいまいちわからないです。誰かわかる人情報プリーズ。

時間を「どこまでも続いている戻ることのできない1本の道路」と考えるとわかりやすいかもしれません。

時間という道路は戻ることができないので、とにかく前へ進み続けなければなりません。道中にはいろいろな景色が見れますが、進み続ける限りどの景色も一期一会で、1度見たら二度と見ることはできないです。

ここでいう「景色」というのが、僕らの周りに起こる「出来事」のことです。

本作でいえば「車のクラッシュ」などですね。

どんなタイミングで起こる「出来事」も、そのタイミングでしか体感できないですよね。

しかし『テネット』の場合《回転扉》という装置を使うことで、時間という道路の逆走ができるのです。

逆走できれば同じ景色を再び見ることができますよね。

同様に本作の主人公はカーチェイスのシーンで全く同じ車のクラッシュを2回体験しました。

逆行は1分60秒で進む

本作で「新しいな!」と感じたのは、タイムトラベルのように時間を指定して「過去」「未来」へ移動できない点です。

これが今まであった時間を扱ったSFに無かった概念で、回転扉に入ったタイミングが起点となり、我々が時間を《順行》するように主人公たちは時間を《逆行》するのです。

つまり5日前の過去に戻りたければ5日間分の時間が必要ということになります。

要するに早送りとか巻き戻し(早戻し)的なことはできないんですよね。《順行》《逆行》もあくまでも同じ速度で進むしかできないんです。

《逆行》から回転扉に入れば《順行》に戻る

回転扉を利用して一度時間の《逆行》側にいくと、永遠と逆行してしまうわけではありません。

もう一度回転扉に入ることで、《順行》側に戻ってくることも可能。

図解すると以下みたいな感じです。

上記のように、1日《順行》《逆行》を繰り返せば「同じ日を永遠と体験する」なんてことも可能なんじゃないかなと思います。

ただし《逆行》も1分60秒が原則なので体感的には2日ですね。

未来には行けない

『テネット』の時間の概念を弄るキーアイテムは他でもない《回転扉》ですが、時間を戻るだけで未来に行くことはできません。

1日《逆行》してしまうと、元の時間に戻るまで1日の《順行》が必要になります。

逆行中のルール

回転扉を使って逆行が開始されると、いくつかのルールがありましたね。

  1. 風が後ろから感じる
  2. 熱いものを冷たく感じる
  3. 息ができない(酸素ボンベが必要)

こんな感じです。

物語を追う上では大して重要な要素ではないですが、抑えておくとより楽しめると思います。

《逆行》中も老いる?

ひとつわからないのが、《逆行》も老いていくのかなという疑問。

多分ですが劇中に語られていなかったですよね?

ただエリザベス・デビッキ演じるキャットの銃創が《逆行》することによって治っていくルールを鑑みると、《逆行》中って老いないんでしょうか?

答えを出すにはもう複数回見るしかなさそうですね。

「こんじゃない?」という考察がある方は意見プリーズです。

壮大な前振り

とりあえず『テネット』の逆行ルールがなんとなくわかったところで、本格的に本編の感想を。

まず冒頭、本編ちょい見せ映像でも見た「オペラ劇場」のシーンから『テネット』スタート。

ちょい見せ、冒頭だったんか。

相変わらず劇伴と勢いで魅せる能力は天才的。ほとんどセリフもないのに、見入っちゃいます。多分目を瞑って音楽聴いてるだけでも楽しいですよ。

シーンの表向きの動機としては、「潜入捜査していたエージェントの救出を偽装したプロトニウム241の回収」って感じですが、本当の動機は《逆行》の壮大な前振り。

唐突に銃弾を《逆行》させ、名もなき男と観客にWhat?を植え付けました。

あとは植え付けられた「What?=サスペンス」を解決するため、物語に集中するだけ。脚本術的には「インサイティング・インシデント」と言って、要するにツカミのことですが、ツカミとしては「OK!」って感じでしたね。

ちなみに名もなき男が「オペラ劇場」でのミッションに失敗し、敵に拷問を受けているシーンで、「7時になったら開放してやる」という会話がありますよね。

実際7時近くなると、敵は時計の針を戻して拷問を続けます。

これってこれから始まる《逆行》がテーマの暗喩だったんですね。

複雑な「スタルスク12」での10分間

本作のクライマックスであり最大の見せ所が「スタルスク12」での戦闘シーンですね。

「《逆行》ありきで戦争シーンをとった」と言ってOKなほど、まごうこと無き戦争でしたが、それだけにかなり複雑なシーンです。

とりあえず少しでも理解しやすいように図解してみたのでまずは図を見てください。

黒い矢印が時間の流れ、青い矢印がブルーチームの流れ、赤い矢印がレッドチームの流れです。

ブルーチームにはニール(ロバート・パティンソン)が参加しており、レッドチームには名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)とアイヴス(アーロン・テイラー=ジョンソン)が参加していました。

レッドチームの作戦が開始した瞬間、正面を突っ切ってきたり、地下通路に潜入するときやたらクラクションを鳴らしてくるハンヴィーがいましたが、あれは敵が爆弾を仕掛けたことを目撃したため名もなき男たちを警告したいニールだったんですね。

ニールはいつ鍵を開けた?

時間の逆行のおかげで、とても複雑な本作ですがクライマックスで、ニールがいつ鍵を開けたのかが分かりにくいですよね。

なので本作におけるニールの時間の流れを図解してみました。

一番上の赤い矢印から下に向かっていくのがニールの時間の流れかなと思います。

「鍵をあけられるのは自分しかいない」というセリフからも分かるように、スタルスク12の作戦が終わった後、ニールは再び《逆行》し、鍵を開けて死亡してしまいます。

名もなき男はニールがこの先で死んでしまうことを知っていますが、ここで彼の運命を伝えてしまうと、結末が大きく変わってしまう可能性があるため離すことができません。

名もなき男の何とも言えない表情から、友情と責務の間で揺れ動いている彼の感情が垣間見えるシーンでした。

[jin-iconbox02]フリーポートで「逆行名もなき男」が「順行名もなき男」と格闘した後、ニールと名もなき男の会話の中で、「知っていても話すべからず」的な会話をしていますが、結末への伏線だったんですね。あっぱれ。[/jin-iconbox02]

アルゴリズムってなに?

劇中でプルトニウムかと思いきや、未来人の最終兵器だった「アルゴリズム」。

プルトニウムは元素ですが、アルゴリズムってなんだ?と思った人も多いんじゃないでしょうか。

これ、職業がシステムエンジニアだとよく口にするのでわかりやすいんですが、

[jin-iconbox09]要するにアルゴリズムとは「やり方」のことです。[/jin-iconbox09]

本作でいえば、《逆行》と《順行》を完全に逆転させる「やり方」ですね。

本作では時間の流れを逆転させることによって生じる破滅を防ぐために開発者が、《逆行》と《順行》を完全に逆転させる「やり方」を分解し、過去へと逆行させることで隠します。

「やり方」が一つでも欠けてたら、完了に到達することはできないですもんね。

劇中では3Dパズルのごとく、めちゃくちゃ物理的に繋がれていましたが、1つ1つのなかにはきっとソースコード的なものが入っているのでしょう。

フランシスコ・デ・ゴヤとの関係

セイターとキャットを結びつけ、名もなき男とニールをロータス社へといざなったフランシスコ・デ・ゴヤの作品ですが、ゴヤの作品も本作を暗喩しています。

というのはゴヤで最も有名だと言っても過言ではない、『我が子を喰らうサトゥルヌス』という絵と関係しています。

『我が子を喰らうサトゥルヌス』はゴヤの作品の中でも<黒い絵シリーズ>の一つとして数えられるのですが、この絵の解釈は「わが子によって王座を奪われると予言された農耕の神サトゥルヌスが生まれてきたわが子を自ら喰らう逸話の場面」です。

つまり近い未来に自分にとって脅威となる相手を倒す子殺しの絵画であり、本作のにおける現代人と未来人の構図を暗喩していると言えるかなと思います。

また同じ<黒い絵シリーズ>のなかに『砂に埋もれる犬』と言う作品がありますが、この作品はかつて『流れに逆らう犬』とよばれていました。

[jin-iconbox01]『我が子を喰らうサトゥルヌス』はなかなかショッキングな絵画なので、あえて掲載していません。調べるときは気をつけてね![/jin-iconbox01]

ノーランのフィルム愛

本作で「うっわぁ。クリストファー・ノーランってやっぱフィルム好きだなぁ。というか映画愛してんなぁー。」と思ったシーンがあります。

そのシーンというのが「逆行カーチェイス」の後、名もなき男たちが《回転扉》のある小屋に連行される直前のシーンなんですが、該当のシーンでは《順行》側の出入り口と《逆行》側の出入り口との間に、黒い縦に伸びた柵が隔てているんですよ。

この柵越しに反対側が映されるショットが小屋に入る直前のショットなのですが、このシーンは映画のフィルムをモチーフにしています。

フィルムとはコマと呼ばれる静止画の連続で、フィルムを高速で映写することによって動画(=映画)として見ることができます。

ちょうど黒い柵と柵の間から見える景色がフィルムの1コマを表現しているように見えます。

ちなみにフィルムってこんな感じ。

本来映画とは、「始まりから終わりまで一方通行にフィルムを走らせる行為」なんですが、それを逆回転させれば作られた映像は《逆行》するんですよね。

要するに本作のテーマとフィルムをかけた粋な演出というわけです。

映画とフィルムをこよなく愛するクリストファー・ノーランだからこそ魅せる作家性だなぁと心底感じました。

2 COMMENTS

かな

すみません。
ニールの時間軸が図解を見てもイマイチ理解できないのですが、ニールがオペラハウスで主人公を助けた日とスタルスク12の日は同じ日ですよね??

オペラハウスのほうが時間軸は早いんですか?
オペラハウスで主人公を助けた後スタルスク12に向かったということでしょうか??

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deguchi1103

かな様
コメントありがとうございます!

すみません、冒頭の方の考察は結構曖昧かもしれません。。
ただニールと名もなき男が劇中で初めて出会ったのは、オペラハウスよりも後じゃなかったでしたっけ?(ニールはオペラハウスにいた?)

オペラハウスとスタルスク12は同じ日だと認識です!

これはもう一度見る必要がありそうです。。w

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