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『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』解説ネタバレ感想・伏線・考察【評価】

オレンチ
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はじめまして!オレンチと申します。

今回は2023年に公開されたクリストファー・マッカリー監督の最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』についてお話ししていこうと思います。

ちなみに今回の作品を鑑賞するにあたり『ミッション:インポッシブル』シリーズを全て余すところなく(字幕・吹替・音声解説・特典映像)予習しているので、その中で気づいたシリーズらしさについても交えて話していけたらと思います。

『ミッション:インポッシブル』シリーズの魅力を深掘り分析!さらに面白くなること間違いなし!観るべき順番も解説 『ミッション:インポッシブル』シリーズの魅力を深掘り分析!さらに面白くなること間違いなし!観るべき順番も解説

というわけで早速ですが本題へと進んでいきましょう!

注意

この記事はネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のネタバレ感想・解説・考察

二部作に分けられた意図とタイトルの意味

シリーズとしては7作目となる本作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(以下、デッドレコニング1』)はシリーズとして初めて二部作として制作され、この記事を執筆している2023年8月現在では『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO』(以下、デッドレコニング2』)の公開が2024年に控えています。

累計で8作もの長寿シリーズとなった『ミッション:インポッシブル』シリーズ(以下、『ミッション』シリーズ)はこれまで監督を変えることでその鮮度を保ってきたシリーズです。

しかし『ローグ・ネイション』でクリストファー・マッカリーが監督として参加──脚本としては『ゴースト・プロトコル』から参加──して以来、次回作の『デッドレコニング2』まで含めると、トータルで4作品を監督することになります。

シリーズの伝統を崩してまでトム・クルーズがクリストファー・マッカリーにこだわった理由は、映画作りのプロセスがお互いにマッチしたからです。『ミッション:インポッシブルシリーズの魅力を深掘り分析!』にも書いていますが、本作や『フォールアウト』などクリストファー・マッカリーがメガホンをとった作品は、撮影開始時点で細かいことを記した脚本は存在せず、撮影を進める中でアイディアを出し合い細かい部分を埋めていくプロセスで制作されています。

このことは本作のパンフレットや『ローグ・ネイション』、『フォールアウト』などの音声解説の中で繰り返し言及されており、一見突拍子もないプロセスのように感じますが、チャールズ・チャップリンやハロルド・ロイドの時代から語り継がれてきたプロセスだとトム・クルーズは語ります。

オレンチ
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『カサブランカ』(42)は常に脚本が浮いた状態になっていたことでも有名です。

どんなプロセスなのか例を挙げると『ローグ・ネイション』で初めて参加したイルサ・ファウスト(演:レベッカ・ファーガソン)は、レベッカ・ファーガソンの演じ方に合わせたキャラクターに変更していくことで当初とは全く違ったキャラクターになっていったと言います。

もちろんゼロの状態から開始するわけではなく、大きな枠のようなものは存在しています。

言うならば、『ミッション』シリーズの映画作りはスタート地点とゴール地点は決まっていて、ゴールまでの道のりを自由に組み立てていくプロセス──という感じですね。

オレンチ
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そうじゃなければ今回みたいに二部作のような構成にはなり得ませんもんね。

二部作に分かれた経緯についてですが、最初はキルビル現象が起きていると思っていました。キルビル現象とはクエンティン・タランティーノ監督の『キルビル』がVol.1とVol.2に分かれた経緯のことで、『キルビル』は当初1作品分の脚本だったのですが、前半と後半であまりにもテイストが異なっていたため、二部作に分けたという経緯があります。

本作も同じような経緯で1つの作品が2つに分裂したのだと思っていましたが恐らくその予想はハズレで、シリーズに明白な連続性を与えたかったことこそ二部作に分けられた理由だと思います。

思い返せばクリストファー・マッカリーがシリーズに参加した『ゴースト・プロトコル』あたりから、作品間の連続性は次第に強固なものになってきていて、信頼関係の厚いチーム像を作り出してきました。

トム・クルーズほど映画好きなフィルムメーカーもそう多くはなく、『ミッション』シリーズには映画作りに関するメタファー(暗喩)を入れ込みます。例えば『ローグ・ネイション』には行く先々でソロモン・レーンに振り回されることから、映画作りの難しさとチームワークの大切さをメタファーにしたと語っています。

『ミッション』シリーズはトム・クルーズが初めてプロデューサーを務めたシリーズであり、本作に至るまで制作&主演を務めている唯一のシリーズ。映画史を掘り下げてもても制作&主演でここまで続いたシリーズは類を見ません。

つまり『ミッション』シリーズはトム・クルーズが新たな映画作りに挑戦するフィールドのようなものなのだと思います。そう思うと二部作の持つ強固な連続性は、シリーズに課した新たな挑戦だったように思えます。

また前述した通り、クリストファー・マッカリーが参加してからの『ミッション』シリーズは少しづつ連続性を帯びてきたことから、本作と次回作は【トム・クルーズ × クリストファー・マッカリー = ミッション:インポッシブル】の集大成のようにも思えてきます。

トム・クルーズは『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のハリソン・フォードに敬意を払い、80歳まで『ミッション』シリーズを続けると語っていますが、もしかしたら次回作でクリストファー・マッカリーはシリーズを卒業するかもしれませんね。

オレンチ
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ちなみにキルビル現象は僕が勝手に提唱した概念ですw

さて。これまで語ってきた内容を掛け合わせていくと、なんとなくタイトルの意味も考察できます。

本作のタイトルであるデッドレコニングとは、航海術における最後に確認された位置情報にのみ基づいて航路を計算することで、基本的には盲目的に航海を続ける状況のことを言います。

このタイトルは本作のミッションへの暗喩にもなっていて、イーサンやその他の登場人物の運命へのメタファーにもなっています。

しかしさらに俯瞰して考えてみると、トム・クルーズとクリストファー・マッカリーの映画制作のプロセスを表しているようにも見えてこないでしょうか。

つまりデッドレコニングというタイトルは『ミッション』シリーズの制作プロセスを体現したタイトルなのでしょう。

原点回帰を彷彿とさせる様々な要素

フォールアウト』のオファーを受けたクリストファー・マッカリーはシリーズの監督を毎回変えてきた意図に気づいており、『ローグ・ネイション』とは全く違うアプローチを取ることを条件に承諾。その精神は間違いなく本作にも生かされていました。

第一にわかりやすいのはテーマに合わせた画角の違いですね。

フォールアウト』にはCIAやIMFといった組織間の対立がテーマにあったので、画角内に複数人が収まるミドルショットを多用し、組織間の対立や力関係を表現していました。

例えばイーサン・ハントがホワイト・ウィドウのアジトに足を踏み入れた際は、イーサンを囲むようにホワイト・ウィドウの手下を配置し、その配置がわかるような構図が取られていました。また組織内での力関係を表現するため、力の強い人物を前面に、その部下となる人物を背景でボカすなどの構図も取られています。

イーサンを囲むように配置されたミドルショット──『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』より引用
オレンチ
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CIA(アンジェラ・バセット)とIMF(アレック・ボールドウィン)が議論するシーンで上記の構図が取られているのですが、その後のホワイト・ウィドウのアジトシーンでも同じ構図が取られていて、ここが秀逸!

しかし本作『デッドレコニング1』の構図は全く異なり、ダッチアングル(斜め)で煽りのショットを多用しています。

ダッチアングルショットには被写体(映っている登場人物)やその状況に不安を与える効果があり、煽りのショットは被写体から受ける圧迫感などを強くする効果があります。

なので力関係を表すリバースショット(AとBが対面で会話しているようなシーン)には力の強い方を煽りで、弱い方を見下ろしで映すことが多いんです。

これらを鑑みるとダッチアングルな煽りショットには、本作の先の見えないミッションの性質を体現しており、サスペンスらしさを強力に演出していると言えます。

ダッチアングル煽りショット──『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』より引用

さらに本作の場合、リバースショットでも両者を煽りのショットにすることで、お互いに譲らない──力が拮抗している様を描いているように思えます。

ダッチアングル煽りショットのリバースショット──『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』より引用

さらにさらにダッチアングルな煽りショットにはもう一つ大きな役割を持っています。

その役割というのが、原点回帰です。本作は『ミッション:インポッシブル』よりも過去に生まれた葛藤が描かれており、その鍵を握るのがガブリエル(イーサイ・モラレス)という存在です。ともするとガブリエルは今のイーサンを作り上げた人物と言えるかもしれません。

そうなると1作目を思い起こさせるのは必然といえば必然で、キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)が1作目以来の再登場をしていたり、クライマックスの見せ場は1作目と同様に列車がロケーションになっていました。

それら1作目を思い起こさせる演出と並んで、実はダッチアングルな煽りショットも1作目で多用された構図に寄せたものになっているんです。

つまり『デッドレコニング1』は様々な要素を使って、1作目を思い起こさせるように作り込まれているんです。

ダッチアングル煽りショット──『ミッション:インポッシブル』より引用

同監督の『フォールアウト』や『ローグ・ネイション』と見比べてみるとそれぞれの違いは明白で、ダッチアングルな煽りショットは間違いなく1作目を彷彿させるために多用されたショットであると言えるでしょう。

またアラナ・ミツソポリス a.k.a. ホワイト・ウィドウは1作目に登場したマックス(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の娘なので、武器商人(マックス or ホワイト・ウィドウ)、キトリッジ、イーサン、黒幕が一堂に列車の中に集まる構造も1作目と似ていて面白いですね。

スタントによるドラマ性の維持とコミカルさ

『ミッション』シリーズについて語るなら、避けては通れないのがトム・クルーズによる限界突破したスタントの数々ですね。

過去にトム・クルーズは本シリーズの中で地上600mの場所で命綱なしでロッククライミングを行ったり、世界一高いビル・ブルジュ・ハリファをよじ登ったり、時速400kmの軍用機の外にしがみついて空を飛んだり、HALO降下(高高度からスカイダイビングを行い、地上スレスレでパラシュートを開く降下方法)を行ったりと、毎回観客を驚かせるスタントを披露してきました。

様々な角度から撮影する必要があるため、驚くべきことに前述したスタントの数々は1回のみではなく、いずれも複数回行っており、例えば『ローグ・ネイション』における軍用機のスタントは8回、『フォールアウト』におけるHALO降下も8回ほど行っています。

本作『デッドレコニング1』の見どころとなるジャンプスタントのシーンも例外ではなく、複数回のテイクをこなしたようです。

そこまでしてスタントにこだわる理由は、もちろん観客に楽しんでもらうためではありますが、作品にドラマ性を維持させるという目的もあります。

本作は特にアクションシーンが長く、とりわけローマでのカーチェイスシーンはシリーズ屈指の長さを誇っているでしょう。これほど長いアクションシーンでありながら、ドラマ性を維持できている作品が他にあるとすれば『ジョン・ウィック』シリーズくらいかもしれません。

ジョン・ウィック:チャプター2』の解説の中でチャド・スタエルスキは20分くらい長く続くアクションシーンをスタントダブルが演じた場合、必然的に俳優の表情を映せる時間が減ってしまい、減った時間と比例するようにドラマ性も失われてしまうと語っていました。

本作のカーチェイスシーンも同様で、実際にトム・クルーズとヘイリー・アトウェルがスタントに挑戦することで、その瞬間瞬間の様々な表情をカメラに収めることができ、結果的に物語のドラマ性を維持し続けていけたと言うわけです。

コミカルな部分も忘れていないのも、シリーズらしさが溢れて好きです。シリーズのDNAにコミカルらしさが注入されたのは『ゴースト・プロトコル』あたりからで、同作の監督は『Mr.インクレディブル』などのアニメ畑出身の監督ブラッド・バードだったことが大きく影響していると思います。

本作のコミカルらしさといえば、前述したカーチェイスにおけるイーサンとグレースのスラップスティックなアクションコメディが思い出されます。ここまで体を張ったスラップスティック・コメディだとジャッキー・チェンやバスター・キートンを彷彿とさせますが、過去のインタビューの中で、ジャッキーについて言及していたことがあったので、間違いなく意識していると思います。

スラップスティックコメディとは

スラップスティック・コメディとは体を張ったギャグのこと。ドタバタ劇。

オレンチ
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インタビューした番組と内容は失念しました。申し訳ない。

スラップスティックといえば、パリス(ポム・クレメンティエフ)のHUMMERによる追跡もまた車のボディを利用したスラップスティックだった気がします。

HUMMERが他の自動車を薙ぎ倒していく様とポム・クレメンティエフの怪演が最高にマッチしていましたね。

さらにバイクジャンプへと向かうくだりも、スラップスティックとはまた違うコメディ感を作り出していて、個人的には面白かったです。

と言うのもバイクジャンプのポイントへ向かうくだりは、「どこに向かっているのか知らないのはイーサン・ハントだけ」と言う構造がメタフィクション的に出来上がっているからなんですよね。

おそらくほとんどの観客の方が、カーブで列車に乗れなかった瞬間からバイクジャンプのシーンに繋がることを予想できたのではないでしょうか?

『デッドレコニング1』の見せ場がバイクジャンプだと言うことは、かなり徹底的に情報統制をしない限りほとんどの人が知っている周知の事実です。

オレンチ
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山頂まで連れてかれるなーって思いましたよねw

ベンジー(サイモン・ペッグ)は誘導している側なのでもちろんどこに向かっているかわかっていますし、表情を見て貰えばわかりますが、この先イーサンにとんでもない試練が待っていることを理解しています。

バイクジャンプまでの道のりは、ある意味で、イーサンがドッキリに仕掛けられているようなタイプのコメディが生まれていたように思いました。

オレンチ
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最後にパラグライダーの着地がうますぎて笑いまいたw

また列車(オリエント急行)の上を走るスタントがありますが、これにはノースタントの始祖であるバスター・キートンへのラブレターのようにも感じますね。

というのもバスター・キートンの有名な作品『キートンの大列車追跡』を彷彿させているんですよね。

トム・クルーズほどの映画づきならバスター・キートンを意識していないなんてことは絶対にあり得ないと思いますし、何かしらの尊敬の念は込められていると思います。

バスター・キートンによる列車上のスタント──『キートンの大列車追跡』より引用

キートンの大列車追跡』のクライマックスは下記のようなシーンなんですが、こちらもなんだか似てるような気がしますよね。

『キートンの大列車追跡』より引用
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『キートンの大列車追跡』のワンシーンが『ジョン・ウィック:パラベラム』の冒頭でもリスペクトという形で挿入されています。

イーサン・ハントの幻影と新規参画者たち

スタントといえば本作でシリーズに初参戦となったヘイリー・アトウェルについても言及したいです。

『ミッション』シリーズは毎回新しい登場人物を迎えることが伝統のようになっていますが、彼女の演じるグレースはこれまで『ミッション』シリーズに登場しなかったタイプのキャラクターなので、非常に興味深い人物でした。

これまでイーサンのチームに参加するような人物たちは、すでに何かの技術に卓越した能力を持っており、スペシャリストとして、言わばチームの歯車の一部を担える状態での参戦でした。

しかしグレースの場合、泥棒としてのスキルは一流ではありますがスパイとしては圧倒的に素人で、そのことは前述したカーチェイスのシーンで表現されています。

車で華麗に逃げ切るのかと思いきや、思うように車を操ることができず、最後には事故まで起こしてしまいます。これをヘイリー・アトウェル本人が演じているのが凄いところで、GoProなどで撮影したかのようなヘイリー自撮りスタントショットを何度かみることができるんです。

これこそ前述したドラマ性の維持を行っているショットそのもので、似たような構図でトム・クルーズを撮影したショットを、シリーズの中では多くみることが出来ます。

自撮りスタントショット──『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』より引用

そんなグレースですが本作ではIMFへ加入するまでの様を描いていました。また本作のミステリーとしてイーサンがIMFに加入した理由が掲げられています。

上記を鑑みると、グレースは過去のイーサンの幻影としても機能していたように思えるのです。前述した通りヘイリー・アトウェルはかなり体当たりなスタントもこなしており、トム・クルーズ以外の自撮りスタントショットが見れるのは恐らくヘイリー・アトウェルが初な気がします。

そう思うと二代目イーサンを作ろうとしているのかとも勘繰ってしまいますね。イーサンの過去とグレースの未来を重ねることで、『デッドレコニング2』でどんな化学変化が起きるのか、今から楽しみでなりません。

さてタイトルのデッドレコニングとは盲目的に航海を続ける状況のことで、これはイーサンの置かれている状況のメタファーでもありました。そして恐らくはグレースの置かれている状況のメタファーにもなっているのだと思います。

兎にも角にも『デッドレコニング2』で最重要な人物となることは間違い無いでしょう。

逆にグレースと入れ替わるように退場となってしまったのがイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)ですね。本作を思い返すと冒頭の砂漠で一度、死んだ描写が描かれているんですよね。これは恐らく後に語られる予知の示唆で、ミッドポイント(脚本のちょうど真ん中)あたりでイルサが死ぬのはある意味予言されていたのかもしれません。

『フォールアウト』の制作段階で主要な登場人物の死を描こうとしており(ジェレミー・レナー演じるブラントが死ぬ予定だったらしいです)、ついに本作で実現させた感じでしょうか。

ただやっぱり慣れ親しんだキャラクターが死を迎えると、あらゆる方向から生きている可能性を探してしまいますよね。ただ前述した通りで、いくつかの要素を考えるとイルサの死は確実なものなのかもしれません。

個人的には『デッドレコニング2』で華麗に復活してくれたら嬉しいですが。

オレンチ
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とにかくPART TWOが楽しみでなりません!

もう一人、新規参画者に言及しておきたいのが当局としてイーサンを追うことになるジャスパー・ブリッグスを演じたシェー・ウィガムです。ブリッグスは『ゴースト・プロトコル』に登場したアナトリー・シディロフ(ウラジミール・マシコフ)をさらに拡大したようなキャラクターで、イーサンを追うキャラクターとして深みを与えています。

例えるならルパン三世を追う銭形警部のような役ですね。

今まで『ミッション』シリーズにはいそうで居なかった燻銀タイプのキャラクターで、こちらも『デッドレコニング2』での活躍が非常に楽しみであります。

個人的にシェー・ウィガムは結構前から注目していて、さりげなく印象を残すカメレオン俳優だと思います。

カメレオン俳優とは作品によってキャラクターを演じ分けるこのできる俳優のこと。本作の他ではコメディ俳優として演じたり、他方ではシリアスな演技をしたりと、出会うたびに違った一面を見せてくれるのでスクリーンに登場するのが楽しみな俳優の一人です。

ちなみに僕が注目し出したのは『キングコング:髑髏島の巨神』あたりからで、その後は出演作に出会うたびにちょっとした喜びを感じたりしています。本作の役はシェー・ウィガムのキャリアの中でもかなり大きな役。

きっと『デッドレコニング2』では本作よりも強烈な印象を残してくれると思うので、ぜひぜひ注目してみてください!

シェー・ウィガム──『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』より引用

ボンゴからドラムへ

『デッドレコニング1』の劇伴についても少し言及してみたいと思います。本作の映画音楽を担当したのはローン・バルフで前作『フォールアウト』 から続投しています。

フォールアウト』のBlu-rayにはローン・バルフによる音声解説が収録されており、これが非常に面白いので興味のある方はぜひ一度視聴してみて欲しいです。

さて本作の音楽をローン・バルフが続投していることは、鑑賞後に知ったのですが本作の冒頭で「もしかしたらローン・バルフが続投しているかも?」と感じました。

なぜならシリーズお馴染みである『ミッション:インポッシブルのテーマ』の新しいアプローチが『フォールアウト』の時のアプローチととても似ていたからです。

『ミッション』シリーズの密かな魅力として、作品ごとにアレンジを加えている点が挙げられます。

オレンチ
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例えば『M:i-Ⅱ』はロック調になっていましたね!

フォールアウト』ではボンゴが多用され非常に個性的な『ミッション:インポッシブルのテーマ』が出来上がっていましたが、本作は恐らくですがボンゴのポジションがドラムに変わっていたんです。

あまり音楽シーンに明るく無いので、深いことは言えないのですが前作がオーケストラのようなテイストだったのに対し、本作はマーチングバンドのようなテイストになっていた気がします。

さらに『フォールアウト』のアクションシーンにおける音楽の使い方が非常に秀逸で、楽器1つごとに音を収録し、レイヤーとして重ねることで一つのオーケストラを作れるような収録の仕方をしていたのです。

これをシーンAでは楽器A、シーンBでは楽器Bと言うように各シーンに合わせた楽器音楽を挿入し、アクションシークエンスの最も盛り上がるシーンで楽器Aと楽器Bの音を重ねて挿入することで、音楽的にも最も盛り上がるように演出していたんです。

まさに音楽のチームワークといったところで、音楽でも『ミッション』シリーズが持つ普遍的なテーマを表現していたんです。

間違いなく『デッドレコニング1』にも同じように秀逸なシーンがあるはずなのですが、いかんせんまだ1度目の鑑賞なので、そこまで深く見ることができず、2度目・3度目とみて行くうちに本作の持つ映画音楽にも注目していこうと思います。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のテーマ

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のテーマ

1 COMMENT

toshiakama

素晴らしい解説。
この映画を本当に愛しているのを感じました。
ただし、トム・クルーズが、「キートンの大列車追跡」に影響を受けたとするのは考えすぎだと思いますけどね。
映画はたくさんありますから、何かと似ていることはあると思いますが。”チャップリンやロイド”に言及したとしても、キートンの映画を例え見たことがあっても、さすがに影響を受けたと公言しないかぎりは偶然、似てただけではないかと思いました。

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