オススメ度 |
公開日 | 2019年 |
制作国 | アメリカ |
上映時間 | 94分 |
ジャンル | ドラマ |
- 思春期パキスタン系アメリカ人女性の苦悩
- 心の詩的表現が美しい
- スケートボードは自由の象徴
『ハラ』はAppleTV+初のオリジナル映画。パキスタン系アメリカ人のハラが思春期の中で、ムスリムの戒律と合衆国のティーンとしての間で苦悩する物語を描いています。
大衆向けの映画というより誰かの心に響くソフトストーリー的な物語で、とりわけ移民の二世として悩む人々や、家族に悩みを抱えるティーンエイジにとっては記憶に残る一本かなと思います。大小あれどきっと誰もが思春期に共感できる悩みを抱いたことがあるかもしれません。
難解なソフトストーリー的映画では心の声を表情から読み取るしかない場合がありますが、本作では心の声を”詩”として吐露させるところに工夫を感じます。
アメリカ合衆国という自由な社会の中で、ムスリムの戒律に縛られるハラの苦悩が上手く表現されている本作ですが、やはりある程度、ムスリム社会における女性のルールについては知っておきたいところ。
本作の中でハラ(とお母さん)は、外にいる時は必ずヒジャーブと呼ばれるスカーフを被り、体育の時間では1人トイレの個室で袖の長い服を着て肌が露出しないように振る舞っています。
これはムスリムの戒律によるもので、女性は顔と手以外を隠し、他人を魅惑させないようにしなければならないという義務があるためです。
気をつけなければいけないのは、全てのムスリム女性が苦痛に感じているわけではなく、自らの充実感などによって選択している人もいるということですね。
本作の場合、ハラの登場シーンが自慰行為から始まり、セックスに興味を持ち、ムスリム以外の男性に恋をすることから戒律の中と外で苦悩していることがよく分かります。
もう一つ注目したいのがハラの母親についてで、彼女は英語が堪能ではありません。あくまで移民系映画を観た経験則ではありますが、移民の母親というのは統計的に英語が堪能ではない人が多いような気がします。
これは宗教は文化の違いによって、女性は外に出ることができず、限られた世界で暮らしているため英語を身につける機会が極端に少ないためなのかなと感じました。
ちなみにスケートボードを持ったポスターが印象的ですが、スケボーに特化した映画というわけではなく、本作の場合スケートボードは唯一ハラの自由の象徴として機能しているアイテムなのかなと思います。
そんな『ハラ』。是非ご鑑賞ください。
配信状況は上記の通り。『ハラ』はAppleTV+が独占配信している作品なので、AppleTV+でのみ鑑賞することが可能です。全話見放題で配信しているので、お試し期間中に解約すれば無料で全話見ることも可能です。
AppleTV+は全てオリジナル作品を展開している配信サービス。見渡す限りオリジナル作品で、配信オリジナルが好きな人にとって金脈のような配信サービスです。
どのドラマや映画もハリウッドで一度は見たことがある俳優が出演しており、スティーブン・スピルバーグなどの有名監督も参加しています。ここでしか見れないような掘り出し物を探している人にとって非常にお勧めな動画配信サービスとなっています。
結論『ハラ』を観たい人はAppleTV+一択です!