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映画の楽しみ方(理論編)『三部作と続編シリーズの違い』

オレンチ

はじめまして!オレンチと申します。

今回は映画における【三部作と続編シリーズの違い】についてお話していこうと思います。

ちなみに今回の《違い》は僕が映画に触れていく中で感じた違和感を整理したものです。今のところ僕しか使ってないかと思いますが、もし興味があったら最後までお付き合いください。

《三部作》と《続編シリーズ》の違い

両者は似ているようで明らかに異なります。

例えば三部作は、

  • 『ロード・オブ・ザ・リング』三部作
  • 『スパイダーマン』三部作(サム・ライミ版)
  • 『パイレーツ・オブ・カリビアン』三部作(ワールド・エンドまで)
  • 『マトリックス』三部作(レボリューションズまで)

などが挙げられます。

続いて続編シリーズは、

  • 『ワイルドスピード』シリーズ
  • 『ダイ・ハード』シリーズ
  • 『ミッション:インポッシブル』シリーズ
  • 『ファイナルデスティネーション』シリーズ

などなど。

どちらも同じジャンルやテーマをもった映画たちですが、決定的な違いがあります。

オレンチ

もちろん三部作は基本的に3作品だし、先に挙げたシリーズ作品は4作以上続くものばかりですが、数の違いを指摘したいわけではありません。

三部作は3つで1つの物語

三部作と呼ばれる作品群は、3作目と言う終幕に向かって物語が進みます。そのため3作品を俯瞰的に見ると1つの大きな物語が浮かび上がってくる構造になっているんです。

『ロード・オブ・ザ・リング』

最もわかりやすいのは『ロード・オブ・ザ・リング』三部作ですね。

『ロード・オブ・ザ・リング』三部作には「指輪を滅びの山に捨てる旅」という大きな物語が背骨にありますよね。

『マトリックス』

『マトリックス』三部作には「機械との最終決戦、ネオとスミスの物語」という大きな背骨がありますよね。

『スパイダーマン』

サム・ライミ版『スパイダーマン』三部作を俯瞰的に見ると「ピーターとハリーの物語」という大きな背骨が浮かび上がってくるかと思います。

このように三部作と呼ばれる作品には、最初からもしくは後付けでも必ず三作目で大きな物語が完結するように出来ています。四作目があったとしても《新章》といった形でスタートしますよね。

つまり三部作には、前後の作品間で物語上の強い繋がりあるんです。

「後付け」や「新章」の作品を例に挙げるなら『スター・ウォーズ<オリジナル三部作>』やワールド・エンドまでの『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズがわかりやすいですね。

「後付け」の場合、一作目は独立していて二作目と三作目が強い依存関係を結んでいるケースがほとんどです。

オレンチ

この際の二作目は、クリフハンガー的なラストを迎えることが多いですよね。「ブリッジ作品」と読んだりもします。

『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』

『スター・ウォーズ/新たなる希望』の大ヒットによって制作された『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』はショッキングなエンディングだった上、クリフハンガー的なラストで次作と大きな繋がりをもっています。

また『スター・ウォーズ<プリクエル三部作>』や『スター・ウォーズ<シークエル三部作>』といったように新章としてスタートしていますよね。

オレンチ

『スター・ウォーズ』の場合、オリジナル三部作・プリクエル三部作・シークエル三部作としてさらに大きな三部作的な構造をもっていますね。

『パイレーツ・オブ・カリビアン:デッドマンズ・チェスト』も、一作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン:呪われた海賊たち』は独立しているのに対し、次の作品の『パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールズ・エンド』と大きな繋がりを持っています。

続く『パイレーツ・オブ・カリビアン:生命の泉』は、『デッドマンズ・チェスト』と『ワールズ・エンド』ほど強い繋がりはなく新章としてスタートしていますよね。

面白いことに三部作それぞれの役割は映画の脚本術「三幕構成」とよく似ています。

三幕構成については以下を参考にしてください。

映画の楽しみ方(脚本編)『三幕構成』

続編シリーズは1話完結ドラマ型

対する続編シリーズは登場人物や世界観は共有するも、前後の作品間で物語上の大きな繋がりがありません。

そのためタイトルにナンバリングされることが多く、七作目や八作目まで膨れ上がることも珍しくありません。

例えば『ワイルド・スピード』シリーズはどの作品も世界観や登場人物を共有していますが、俯瞰的にみてもサーガと呼べるような物語の構造にはなっていませんよね。

オレンチ

七作目で一旦区切りがついたように見えますが、ポール・ウォーカーの不幸な事故による苦肉の策なため、区切りとしての力は弱いと思います。

『ミッション:インポッシブル』シリーズも同様にイーサン・ハントと言う登場人物は常に継承していますが、作品間で見えてくる大きな物語の始まりと終わりは見えてきません。

『ファイナルデスティネーション』シリーズはジャンルとテーマだけ継承したパターンですね。二作目までは登場人物も継承していますが、その後の作品は世界観のみ継承しています。

このように続編シリーズと呼べる作品たちは、登場人物や世界観のみを共有した、1話完結型のドラマと似たような構造が浮かび上がってくるんです。

オレンチ

このようなドラマの説話構造をオムニバス形式とも言いますね。

前後の作品間に大きな繋がりをもっていないため、監督が交代しがちなのも特徴の一つです。

また同じジャンルで登場人物を共有するため、マンネリや《作劇上のジレンマ》が起こりやすくなっています。

とりわけ《作劇上のジレンマ》は長く続くシリーズには大きな影響を与えており《シリーズ三作目の法則》を生んでいます。

《作劇上のジレンマ》と《シリーズ三作目の法則》については「映画の見方|シリーズ作品における作劇上のジレンマと三作目の法則」で詳しくお話ししていますので、そちらも参考にしてください。

まとめ

というわけで《三部作と続編シリーズの違い》についてお話ししてきました。

この記事があなたの映画鑑賞を少しでも豊かに出来たら幸いです。最後までありがとうございました。

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