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【ネタバレあり】『パルプフィクション』感想・解説|会話シーンを魅せるコツ

お疲れ様です!オレンチです!

レザボア・ドッグス』に引き続き、今回は『パルプ・フィクション』!

監督作2作目にして、クエンティン・タランティーノの名前を世界中に知らしめた作品です。

90年代における伝説的な1作と言っても過言ではないでしょう。

オレンチ
オレンチ

タランティーノの代名詞ですねー

ではでは、『パルプ・フィクション』いってみましょー!

作品情報

  • 原題:Pulp Fiction
  • 制作:1994年/アメリカ
  • 上映時間:154分

あらすじ

ロサンゼルスの朝、コーヒーショップで不良カップルのパンプキン(ティム・ロス)とハニー・バニー(アマンダ・プラマー)が突然立ち上がり強盗を始める。2人組ギャング、ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)がボスの命令でだまし取られたスーツケースを取り返しに若いギャング団のアパートに車を走らせ、虫けらのように彼らを殺して出ていく。その頃ボクサー、ブッチ・クリッジ(ブルース・ウィリス)がギャングのボス・マーセル・ウォレス(ビング・ライムス)から八百長の依頼金を受け取っていた。(映画.comより)

監督・スタッフ

  • 監督:クエンティン・タランティーノ
  • 脚本:クエンティン・タランティーノ
  • 制作総指揮:ダニー・デヴィート
  • 制作:ローレンス・ベンダー
  • 編集:サリー・メンケ
  • 撮影:アンジェイ・セクラ

制作総指揮にダニー・デヴィート

俳優として数々の作品で目にしますが、よく調べてみると監督や制作にも積極的に手を出しているんですねー。

オレンチ
オレンチ

『バットマンリターンズ』のペンギン役で有名ですね!

人間verのダニー・デヴィート。

キャスト

  • ヴィンセント・ベガ:ジョン・トラボルタ
  • ジュールス・ウィンフィールド:サミュエル・L・ジャクソン
  • ミア・ウォレス:ユマ・サーマン
  • ブッチ・クーリッジ:ブルース・ウィリス
  • ファビアン:マリア・デ・メディロス
  • マーセルス・ウォレス:ヴィング・レイムス
  • パンプキン:ティム・ロス
  • ハニー・バニー:アマンダ・プラマー
  • ランス:エリック・ストルツ
  • ジミー:クエンティン・タランティーノ
  • ザ・ウルフ:ハーヴェイ・カイテル
  • クーンツ大尉:クリストファー・ウォーケン

眺めれば眺めるほどクセのあるメンツなんですが、ブルース・ウィリスだけどうしても浮いて見えちゃうんですよ。

その理由はおそらくブルースから出演を熱望しキャスティングにねじ込んだ為だと思います。

オレンチ
オレンチ

今でこそ大スターのサミュエル・L・ジャクソンだけど、この作品ではねたんだよね。

感想・解説

会話シーンを魅せるコツ

クエンティン・タランティーノという監督は、時間軸が非直線的のような計算されつくした脚本や、バイオレンスな演出が先行して称賛されがちですよね。

しかしどのように撮影し、どのように編集すれば鑑賞者の興味を引き付けられるかを熟知している作家でもあるんです。

『パルプ・フィクション』は会話劇です。しかも会話のほとんどが数分にわたる長いシーンです。

会話シーンというのは、長くなれば長くなるほど集中力は途絶え、退屈になっていってしまうものです。しかも本作の場合は物語とは関係のないような会話まで繰り広げられます。

そうなってくると唯の退屈で暴力的な会話でしかないように感じてきます。

ではどのようにしてタランティーノは飽きさせることなく会話劇を成立させたのでしょうか。

たとえばプロローグにてパンプキンとハニー・バニーが会話するシーン。

まず簡単なことを言えば、あらゆるカットでパンプキンが体勢を変えますよね。これだけでも長い会話シーンに《動き》が生まれひきつけるという意味では有効的です。

さらに、関係のない第三者(このシーンではウェイトレス)にクロースアップすることで絵にメリハリをつけています。

またパンプキンが核心に迫ったことをしゃべりだすカットではパンプキンにカメラが迫って行くようにフレーミングされていきます。

このように話者にカメラが迫って行くことで「これから重要なことが起こる」ことを示唆しています。このフレーミングはブッチがスーツケースの中に金時計がないことに気付き始めたカットでも利用されています。

強盗が始まると、カメラはチルトアップし二人を煽るように捉えます。煽りのショットは対象者がより強く、驚異的に見せたい時に効果的です。

 

続いてヴィンセントとジュールスが裏切り者の部屋へと向かうシーンについて。

ここでは長回しの会話劇という、退屈と退屈が隣り合わせのような方法をとっています。

ではどのように退屈を克服したかと言えば、タランティーノは二人を歩きながら会話をさせました。そうすることでそのままシーンに動きが生まれます。

また二人を中心にとらえたまま、フォローバックすることで、その空間の支配者であることを演出しています。こちらに向かってくるような演出は対象者がより強く見えるのです。

支配者を感じさせる演出は後に続く裏切り者の室内にもそのまま生きてきますよね。

 

さらに続く裏切り者の室内でのシーンでは、奥行きを巧みに利用してダイナミックかつ効果的なシーンを作り出しています。

どういうことかというと、《ジュールス、裏切り者、ヴィンセント》の様な配置になっているカットで、ジュールスの肩越しに裏切り者にピントが合い、ジュールスとピンボケしたヴィンセントが会話しています。

一目で裏切り者は二人のギャングに挟まれていることがわかり、不安そうな顔にピントが合っているので視覚的にも空間的にもヤバイ状況が伝わってきます。

 

さらに面白いのが、マーセルスがブッチに八百長を仕込もうとしているシーンです。

ここではマーセルスの背後をクロースアップで映し出しています。

普通この構図であれば、ブッチにピントが合っていてマーセルスはピンボケした肩越しショットになるでしょう。

本来クロースアップというのは対象者の感情を表現したい時に利用する技法です。

これを後頭部にすることで、本来伝わってくるはずの感情が全く伝わってきません。この違和感はマーセルスという人物をより謎めいた存在たらしめているでしょう。

 

このように挙げだすときりがないのですが、映像言語を巧みに使いタランティーノは154分をあっという間に感じさせる会話劇を作り出しました。

マーセルスに起こること

劇中の会話は《意味のない会話》と呼ばれがちですが、実は今後起こることを暗示していたりします。

とりわけマーセルスの身に起こる災難には悪ノリと言えるほど暗示がちりばめられています。

まずはプロローグでジュールスが裏切り者を罵る際、頻繁にマーセルスのケツの話をしています。

またマーセルスがブッチに八百長を仕込むシーンでは自ら、「プライドなんか捨てちまえ」とブッチに諭しています。この後自分のプライドが著しく傷つけられるとも知らずに。

そもそも事が起こる「金時計」のエピソードは、金時計が7年間もケツの中にいたという真面目なんだかジョークなんだかわからない話から始まり、マーセルスのケツが犯されることで幕を閉じます。「金時計」はケツにはじまりケツで終わるエピソードだったんですね。

暗示と言えばタランティーノは暗示のために超クロースアップを多用します。元々ヒッチコックが提唱した技法で、シンプルかつ有効的な技法です。

たとえば、「ヴィンセント・ベガとマーセルス・ウォレスの妻」では冒頭で注射器の超クロースアップがあります。

また、室内で最も権力がある者がその部屋に入るタイミングで必ずドアノブへの超クロースアップもされています。

つまりドアノブの超クロースアップがされた場合、空間の支配者はドアを開けた人物ということになります。

  • ヴィンセントとジュールスが裏切り者に部屋に入る時。
  • ブッチが自分の部屋に戻る時。
  • ザ・ウルフがジミーの家に入る時。

などです。

映画を開放する

  • 「ヴィンセント・ベガがトイレに行くと悪いことが起こる」
  • 「アタッシュケースの中身は悪魔に売ったマーセルスの魂」

など、本作はカルト的人気から多くの考察を生みましたよね。

ファン達による十人十色の解釈が、この作品を巨大な存在にした要因の一つでしょう。

では考察の中に正解は存在するのか?

答えはNOです。

タランティーノは意図的にあらゆる解釈が生まれるように作ったのだと思います。

つまりタランティーノは映画オタク達がアタッシュケースの中身について議論することを知っていたのです。

議論になれば話題になり、話題になり続ければその作品は語り継がれますよね。

かつて劇中に多くを説明せず、あらゆる解釈を生み、映画史にその名を残した作品があります。

その作品の名とは、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』です。

『2001年宇宙の旅』は元々あらゆるシーンに独白があり、その状況を事細かに説明していたといいます。

しかしキューブリックは公開直前になって独白を全て消し去ってしまったのです。

結果『2001年宇宙の旅』はキリスト教的解釈をはじめとするあらゆる解釈が生まれ、今もなお語り継がれる作品となりました。

キューブリックは劇中の説明を省き、難解にすることで話題になることを予想していたんですね。

オレンチ
オレンチ

そもそもキューブリックは無神論者だったので、キリスト教的解釈は間違いなんですけどねw

『パルプ・フィクション』にも同じことが言えるんじゃないでしょうか。

前述の通り、タランティーノはわざと曖昧な部分を残すことで後々考察されることを仕掛けたんじゃないかなと思うんですよ。

154分経てば『パルプフィクション』は終わりますが、『パルプフィクション』を見た映画好き達はあーだこーだ語り合うでしょう。

映画好き達は《くだらない話》の映画をみたあとは《くだらない話》の考察で語り合うんですよ。

そうなることまで計算されて作られているように僕は感じるんですよ。

タランティーノは154分のフィルムに閉じ込めず、フィルムの外へと映画を解き放ったのではないでしょうか。

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