マーベル最新ドラマ『ワンダヴィジョン』は本日配信開始!詳しくはコチラ

【特集】キム・ギドク監督作品の一覧|特徴・作風について考察してみる【映画解説】

こんにちは!オレンチと申します!

今回は韓国の奇才とまで呼ばれた映画監督キム・ギドク監督について書いていこうと思います。

 

数々の映画賞を受賞したキム・ギドク監督でしたが、不運なことに2020年12月11日に新型コロナウイルス感染症によって惜しくもこの世をさってしまいます。

しかしキム・ギドク監督を追悼しきれない理由として、ギドク監督が亡くなる直前に「#MeToo運動」によって、ギドク監督のセクシャルハラスメントや性的暴行が暴かれていったのです。

 

今回の記事では、コロナの件や#MeTooの件はできるだけ無視し「映画は映画」と切り離したスコープで覗いて行こうと思っています。

 

ちなみに当ブログでは映画の見方として、「映画は監督で見る」を提唱していきます!

キム・ギドク監督作品の特徴・作風について考察してみた

ここからキム・ギドク監督の作風について考察していくわけですが、不勉強ながら全てのキム・ギドク作品を網羅したわけではないので、僕が鑑賞済みのキム・ギドク作品をここに共有しておきます。

オレンチが鑑賞済みのキム・ギドク作品(公開順)
  1. 『魚と寝る女』
  2. 『受取人不明』
  3. 『悪い男』
  4. 『弓』
  5. 『絶対の愛』
  6. 『嘆きのピエタ』
  7. 『メビウス』
  8. 『殺されたミンジュ』
  9. 『STOP』
  10. 『The NET 網に囚われた男』

以上10作です。バレる人にはバレると思いますが、U-NEXTで観ました笑

というわけで上記の作品から感じられた特徴について綴って行こうと思います。

愛に飢えた登場人物たち

キム・ギドク監督の作品で最も特徴的なのは、『嘆きのピエタ』あたりまでのメインとなる登場人物が、必ず“愛に飢えている”点です。

例えば『魚と寝る女』(00)では釣り堀を営む女性が、長期的に滞在する男性に対して気持ちを抱いていますし、『受取人不明』(01)では父親の愛に、『弓』(05)では老人が16歳の少女に、『嘆きのピエタ』(12)では母親の愛に飢えた物語でした。

このようにキム・ギドク監督作品では誰かしらが愛に飢えており、その飢えによって引き起こされる行為によって物語をドラマチックなものにしています。

成熟する犯罪行為

「飢えによって引き起こされる行為」と前述しましたが、その行為というのは嫉妬や独占欲による犯罪行為がほとんどです。

『魚と寝る女』(00)では嫉妬によって殺人を犯してしまいますし、『弓』(05)も言ってしまえば監禁に近い行為です。『悪い男』(01)に至っては何の罪もない少女に借金を負わせ風俗嬢として自分の手元に置いてしまいます。

普通ならこのような犯罪行為に走る登場人物は、ちょっと気持ち悪いくらいのヴィランとして扱われ、最終的にカタルシス(浄化)の対象となり退治されて幕を閉じます。

要するに普通ならこのような登場人物は、さんざん性的などの嫌がらせをしてきた気持ち悪い奴に天罰が下り、「ザマァーー!」という視聴者の心の浄化を手助けする役割を担っているわけです。

しかしキム・ギドク監督作品では、本来ヴィランとして扱われてもおかしくない行為に及んだ人物こそ主役としてフレームインし、彼らの行為は咎められることなく成熟するのです。

中期あたりまでのキム・ギドク作品には異様な雰囲気が漂いますが、その理由は上記のような「成熟する犯罪行為」にあると思います。

実験映画的な挑戦

“愛への飢え”を繰り返し描いてきたキム・ギドク監督ですが、後期になってくるとかなり実験映画的な挑戦をしていることが伺えます。

ここでは『メビウス』(13)『殺されたミンジュ』(14)を題材に実験映画的挑戦について掘り下げて行こうと思います。

音が伝える”メビウスの輪”

『メビウス』(13)といえば全編通してセリフが一切無いことで有名です。

セリフが一切無いという試みが実験映画的なのですが、この作品からセリフを遮断したことにはちゃんとした理由があるのです。

『メビウス』(13)というタイトルや映画のポスターからも分かる通り、”メビウスの輪”がテーマとなっています。

メビウスの輪とは

メビウスの輪とは、細長い帯を180度ひねって両端をくっつけた輪で、表と裏が同時に存在しているという特徴を持っています。

wikipediaより

セリフが無いことと、メビウスの輪が一体どうしたら結びつくのでしょうか。

それはから『メビウス』(13)得られるセリフ以外の音の情報にあります。

『メビウス』(13)のあらすじを簡単にまとめると、浮気に嫉妬した母親の手によって陰部を切断されてしまった息子が、畳みかけるように落ちていく物語で、快楽を求めるために陰部を使わなくても可能なマスターベーションの方法を探ります。

その方法というのは「自分痛みを与え続けるとある瞬間オーガズムに似た感覚を得れる」といったもので、一瞬の快楽のために、石やナイフの痛みに耐えるシーンが繰り返し描き出されています。

その際、痛みに耐える声からオーガズムを感じたあえぎ声に移り変わり、さらに再び痛みを感じ出した悲鳴へと変化していきます。

つまり『メビウス』(13)には《痛み》と《快楽》が同時に存在しているのです。

『メビウス』(13)とは”メビウスの輪”を映画化した作品だったのです。

《痛み》と《快楽》が同時に存在していることをより明瞭にするために、セリフを完全に遮断し、音に集中せさたのだと思います。

キム・ギドクの世界劇場

続いて『殺されたミンジュ』(14)の実験映画的要素について考えていきます。

個人的に『殺されたミンジュ』(14)が僕が見たキム・ギドク作品の中では最も難解な映画だと思います。

のあらすじを簡単に解説すると、「1年前に殺されたミンジュという少女のために結成された自警団が、少女殺害に関わった人物に1人づつ報復していく」といった物語です。

この中で特徴的なことが2つかあります。

1つは自警団たちは殺害に関わった人物を拉致し、拷問にかけることで報復していきます。自警団たちは拉致を実行するたびに「特殊部隊」や「警察」、「ヤクザ」といったように様々な機関に変装するのです。

もう1つは主演の1人キム・ヨンミンが1人で8役を演じているということです。

 

上記2つの共通点は”演じる”ということです。

映画なのだから演じることは当たり前ですし、自警団たちが変装する点は「足がつかないため」という理由もあるでしょう。

しかしキム・ヨンミンが1人で8役演じなければならない理由は全くありません。そもそも8役の中には「喫茶店で彼女とお茶をしている成金」というようにいてもいなくても問題ない役まで演じ分けているのです。

キム・ヨンミンはティルダ・スウィントンのように役によって大化けするような役者ではないので、1人8役が邪魔して、誰が誰だかわからなくなってしまう可能性も大いにあります。(実際僕は混乱しました。)

それでもキム・ヨンミンに8役を演じさせたということは、映画に登場する人物たちは”演じている”ということを感じさせるために意図的にしたとしか思えないのです。

 

イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの思想として「世界劇場」といったものがあります。

「世界劇場」とは、この世の全ては舞台で、人々は何かしら役を演じているという思想です。

 

つまり『殺されたミンジュ』(14)という作品は、シェイクスピアの「世界劇場の思想」を映画化した作品だと思えてくるのです。

作品の終盤では自分たちの役割に気づいた登場人物たちの会話がより一層物語っているように感じました。

キム・ギドク監督作品一覧

1.『鰐〜ワニ〜』

1996年公開

上映時間:102分

あらすじ・解説

ある日、自殺を図った女性ヒョンジョンを助けたヨンペは、彼女を自らの性欲のはけ口として利用するように。同じ橋の下で暮らす老人と少年は、ヒョンジョンを守ろうとする。やがて、ヨンペもヒョンジョンに対して愛情を感じはじめ……。

(映画.comより)

.『ワイルド・アニマル』

1997年公開

上映時間:103分

あらすじ・解説

他人の絵を盗んで売ることで食いつなぐ落ちぶれた画家チェンヘは、ある日、フランス外人部隊に入隊する夢を抱いて密入国し
た北朝鮮脱走兵のホンサンと出会う。やがてチョンヘとホンサンは地元のマフィアの下で働き始め、マフィア同士の裏切りの中
、組織の手によって手錠をかけられたまま海に投げ込まれてしまうのだが・・・。

(amazonより)

.『悪い女〜青い門〜』

1998年公開

上映時間:100分

あらすじ・解説

売春宿・茶P篭に流れ込んできた娼婦・ジナ。昼は学校、夜は客の相手をする彼女を、一緒に暮らす女子大生・ヘミは軽蔑する。そして、ジナはヘミの父や弟のヒョンウ、そして恋人のジノまでもを虜にしていく。

(amazonより)

.『魚と寝る女』

1998年公開

上映時間:100分

あらすじ・解説

釣り堀の管理人・ヒジンは、釣り客に体を売って暮らす孤独な女。ある日、元警官のヒョンシクという男が浮気をした恋人を殺した末、死に場所を求めて釣り堀に現れた。互いに通じ合う匂いを感じたヒジンとヒョンシクの間には、微妙な感情が芽生えるが…。

(U-NEXTより)

.『リアル・フィクション』

2000年公開

上映時間:84分

あらすじ・解説

<私>(チュ・ジンモ)は、マロニエ公園で、近くの電話ボックスを盗聴しながら肖像画を描いている。描いた絵を下手だとののしられても、その絵を破られても、チンピラに売上げを横取りされて殴られても、感情を抑え込んで、文句ひとつ言わずに静かにそこに座っている画家である。ある日、「私」の前に現れた少女(キム・ジナ)に連れられて雑居ビルの一室に入って行くと、そこには舞台があり、激しい感情を吐露する<もう一人の私>である俳優(ソン・ミンソク)が立っており、<私>を殴りつけ、<私>にピストルを持たせて、「撃て」と言い始めた。

(Wikipediaより)

6.『受取人不明』

2001年公開

上映時間:116分

あらすじ・解説

黒人との混血児・チャングクは、娼婦だった母と2人で村はずれの廃バスの中で暮らしている。チャングクの母は、アメリカにいる夫がいつか迎えに来てくれると信じて手紙を書き続けていた。だがその手紙はいつも「受取人不明」という印を押されて戻ってくる。

(U-NEXTより)

7.『悪い男』

2001年公開

上映時間:116分

あらすじ・解説

孤独なヤクザ・ハンギは、街角でひと目ぼれした女子大生・ソナの唇を突然奪う。狂暴で純粋なハンギの愛はかれんなソナを娼婦へと転落させ、彼は売春宿のソナの変貌を見つめ続ける。二人の間に生まれた絶望と憎しみは、いつしか激しい愛へと変化していく。

(U-NEXTより)

8.『コースト・ガード』

2001年公開

上映時間:96分

あらすじ・解説

キム・ギドク監督が韓流トップスター、チャン・ドンゴンを主演に迎えて描く心理サスペンス。南北軍事境界線に近い海岸。海兵隊のカン上等兵は、ある夜、酒に酔った民間人を北の工作員と見誤り射殺してしまう。

(amazonより)

9.『春夏秋冬そして春』

2003年公開

上映時間:102分

あらすじ・解説

キム・ギドク監督が韓流トップスター、チャン・ドンゴンを主演に迎えて描く心理サスペンス。南北軍事境界線に近い海岸。海兵隊のカン上等兵は、ある夜、酒に酔った民間人を北の工作員と見誤り射殺してしまう。

(amazonより)

9.『春夏秋冬そして春』

2003年公開

上映時間:102分

あらすじ・解説

山奥の湖の湖面に佇む小さな寺を舞台に、ひとりの男の人生を5つのエピソードで語る美しく静謐なドラマ。山水画をほうふつとさせる韓国の名勝の国立公園をロケ地に選び、国民的民謡歌手キム・ヨンイムが歌うアリランが、映画を情感豊かに彩る。

(映画.comより)

10.『サマリア』

2004年公開

上映時間:95分

あらすじ・解説

女子高生ヨジンは、親友チェヨンが援助交際をするのに抵抗を感じながらも見張り役になっていた。が、ある日、警官の取締りを逃れようとしたチェヨンが窓から飛び降りて死亡。ショックを受けたヨジンは、罪をあがなうために、チェヨンの援助交際相手たちを訪ねてお金を返して回ろうとする。

(映画.comより)

11.『うつせみ』

2004年公開

上映時間:95分

あらすじ・解説

高級な外国ブランドのバイクに乗る高学歴なテソクだが、彼は住居も職も持たず、留守宅を探しては寝泊まりする日々を送っていた。家々のドアにチラシを貼り、しばらくしてから戻って来て、チラシがはがされていない家に忍び込むのだ。入り込んだ先ではいつもその家の洗濯物を洗い、壊れた電気製品があれば直し、記念写真を撮った。ある日、テソクはいつものように入り込んだ大きな邸宅で一人の時間を過ごすが、実はその家に住むソナが密かに彼を見つめていた。ソナは傲慢な夫との生活に疲れ果てており、テソクに導かれ家を出る。二人は様々な人々の留守宅を転々とするが、やがてテソクは逮捕され、ソナは家に連れ戻される。テソクは牢獄で看守の目から身を隠す修練を重ねる。釈放後、彼はソナの目にしか映らない存在となり、ソナの家で影のように暮らすようになる。
(Wikipediaより)

12.『弓』

2005年公開

上映時間:88分

あらすじ・解説

海に浮かぶ船の上で、老人と少女がふたりきりで暮らしている。どこからか少女を連れてきて10年。老人は少女を大切に育て、17歳を迎えた時に結婚式を挙げることを心待ちにしていた。だが少女がひとりの青年に恋をしたことで、彼らの世界が揺らぎ始める。
(U-NEXTより)

13.『絶対の愛』

2006年公開

上映時間:98分

あらすじ・解説

付き合い始めて2年になるセヒとジウ。セヒは彼と永遠に愛しあいたいと思うが余り、「彼は代わり映えのない自分の顔に飽きているのでは…」と不安を感じ始める。そしてある日、整形手術を行う決意をしたセヒは、ジウの前から姿を消してしまう。
(U-NEXTより)

14.『ブレス』

2007年公開

上映時間:85分

あらすじ・解説

刑の執行が間近となった死刑囚チャン・ジンは、鋭いきりで喉を突き、自殺を図った。自ら死期を早めようとする努力もむなしく、彼は声だけを失ってふたたび刑務所に帰って来る。その場所で待っていたのは彼を愛する若い囚人。しかし、チャン・ジンにとって残されたわずかな<生>は、何の未練もないものでしかなかった…。
(amazonより)

15.『悲夢』

2008年公開

上映時間:93分

あらすじ・解説

別れた恋人を忘れられないジンと別れた恋人を憎むランは、夢を共有しあうという不思議な関係で結ばれていた。精神科医は、「2人が愛し合えば夢は消える」とアドバイスするが……。
(映画.comより)

15.『アリラン』

2011年公開

上映時間:91分

あらすじ・解説

ほぼ1年に1本のペースで新作を撮り続けていた韓国の鬼才キム・ギドクが、「悲夢」(2008)以来、映画界から遠ざかり、山中の一軒家で隠遁生活を送っていた自らの姿を捉えたセルフドキュメンタリー。
(映画.comより)

16.『嘆きのピエタ』

2012年公開

上映時間:103分

あらすじ・解説

生まれてすぐ親に捨てられ、天涯孤独の30年を生きてきたガンド。冷酷な借金取り稼業の日々を送る彼の前に、突如母親を名乗る女ミソンが現れる。無償の愛を注ぎ続けてくるミソンに、初めは疑っていたガンドも心を開き始めるが、その矢先に彼女は姿を消し…。
(U-NEXTより)

17.『メビウス』

2013年公開

上映時間:83分

あらすじ・解説

韓国のある上流家庭。夫の不貞に怒りと嫉妬をたぎらせた妻は、夫の男性器を切り落とそうとして失敗する。彼女の矛先は息子に向けられ、凶行に出た後、家を飛び出していった。性器を切り落とされ絶頂に達することができなくなった息子に、父は…。
(U-NEXTより)

18.『殺されたミンジュ』

2014年公開

上映時間:121分

あらすじ・解説

ソウル市内を必死に逃げ惑う女子高生、そして彼女を追う屈強な男たち。ミンジュという名の少女はやがて無惨に殺される。だが、ソウルの街は少女の死などなかったように過ごすのだった。事件から1年が経った頃、真相を追う謎の集団が不気味に動き始める。
(U-NEXTより)

19.『STOP』

2016年公開

上映時間:85分

あらすじ・解説

2011年3月11日に発生した東日本大震災で福島第一原発がメルトダウンを起こした。原発から5km圏内に住んでいた若い夫婦は東京へ移住するが、妊娠中の妻は放射能の影響が気がかりで、精神的に追い詰められていく。夫は妻を安心させるため、ある行動に出る。
(U-NEXTより)

20.『The NET 縄に囚われた男

2016年公開

上映時間:112分

あらすじ・解説

北朝鮮の寒村で妻子と暮らす漁師のナム・チョル。ある朝、彼は小さなモーターボートで漁に出るが、網がエンジンに絡まりボートが故障し、韓国側に流されてしまう。韓国警察に拘束された彼は、家族の下に帰りたい一心で過酷な拷問と亡命の強要に耐えるが…。
(U-NEXTより)

21.『人間の時間

2018年公開

上映時間:122分

あらすじ・解説

恋人とともに旅行を楽しむ女性、有名な議員とその息子、そして謎の老人と、さまざまな人びとを乗せ、船は出航する。かつては軍艦でありながら退役後はクルーズ船となったその船が大海原へと出た頃、開放的になった乗客たちは酒、ドラック、セックスと、さまざまな顔を見せていった。狂乱の後、疲れ果てて眠りについた彼らが目を覚ますと、船は霧に包まれた未知の空間に突入していた。何が起こったのか理解できない現実を前に呆然とする人びと。やがて乗客たちは生き残りをかけた悲劇的な事件を次々と起こしていく。
(映画.comより)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。