お疲れ様です!オレンチです!
前回に引き続きタラちゃん特集!
一体誰に需要があるのか。問題なのは需要があるかどうかじゃない。
一旦始めてしまったからには引き下がれない。そういう性格なのだ!
というわけで、『キルビルVol.2』の感想・解説・評価、行ってみます!
作品情報
- 原題:Kill Bill Vol.2
- 制作:2004年/アメリカ
- 上映時間:136分
あらすじ/予告編
東京での復讐を終えたザ・ブライドは、残る標的を求めてテキサスの荒野に降り立った。そこにはストリップ・クラブの用心棒をするビルの弟バド(マイケル・マドセン)が酒浸りの日々を送っていた……。(yahoo!映画より)
監督/スタッフ
- 監督:クエンティン・タランティーノ
- 脚本:クエンティン・タランティーノ
- 制作:ローレンス・ベンダー
- 編集:サリー・メンケ
- 撮影:ロバート・リチャードソン
- 音楽:RZA、ロバート・ロドリゲス
キャスト
- ザ・ブライド/ベアトリクス・キドー:ユマ・サーマン
- ビル:デビッド・キャラダイン
- エル・ドライバー:ダリル・ハンナ
- バド:マイケル・マドセン
感想・解説
一本の映画とは
前回の『キルビルVol.1』の記事にて、
“もともと一つの脚本なので、二本で一つの映画。すなわち両方見て正当な評価を下せる”
と、それらしいことを自信たっぷりに解き放ったんですが、タランティーノ自ら「作ってみたら全く別の映画になっちゃったね!分けて正解だったよ!ハハハ」てな感じで、全否定をかましてきました。
ちっくしょう。
そもそも一本の映画ってなんなんでしょ?『ロードオブザリング』はどうなんだろう?
- 解決すべき問題や葛藤の提示からその解決までが一つの映画?(つまりキルビルは2本で一つの映画)
- 上映開始から終了までが一つの映画?
こうやって並べると、おそらく圧倒的に後者なんでしょうね。
そう考えると一本の映画を一本の映画としか捉えられていないと、その映画に対する味わいは非常に薄くなるなと思うようになりました。
キルビルに関してだって、例えばですが『キルビルvol1』は面白い、『キルビルvol2』は面白くない。しかしまとめて見ると面白い。ということが起こる。
他の映画にしてもそうですよね。たとえ一本で完結する映画だって、過去の作品に影響を受けていない映画なんて存在し得ないんだし。
優れた監督ほど、過去作の真似したい部分を持っていて、それを上手にブラッシュアップし自分の作品に取り組むものです。
ゆえに《ヒッチコックの法則》や《ミザンセーヌの美学》といった映像技法を示す言葉が生まれたりしてるわけで。
つまるところ映画というのは遺伝するように過去作の何かしらを引き継いでいるように思います。
映画を家系図みたいに遺伝関係を読み取れたら味わい深くなりませんか?
って、
なんの話ししてんだ。
Vol.2は答えである。
だいぶ脱線しましたがキルビル…キルビル…。
ただし『キルビル』という作品は遺伝関係について言えば、最もわかりやすい作品の一つですよね。
例えばトリビア的なところを挙げると、今作で登場するパイ・メイはショウ・ブラザーズ作品に登場するキャラクターであり、本作でパイ・メイを演じたゴードン・ラウは、ショウ・ブラザーズ作品で、パイ・メイと対決しています。
かつてヒーローとしてパイ・メイと闘った男が、歳をとってからパイ・メイを演じる──という、タランティーノ的遊び心が仕込まれているんですよ。
ちなみにゴードン・ラウはvol.1でジョニー・モーを演じています。
そもそも『キルビルVol1』の記事でタランティーノパンクと称したように、タランティーノのスペキュレイティブ・フィクション。すなわちタランティーノが好きなものだけを集めて作った世界が舞台である。ということが何よりも過去作を遺伝していると言えるでしょう。
本作をVol.1と比べると、Vol.2の方がよりマカロニウエスタン感が増しましたね。そう感じさせる最も大きな理由は全編通したロケーションでしょう。アメリカからメキシコへキドー(ユマ・サーマン)の旅路も露骨ですね。
また、タランティーノは「Vol.1は”問い”で、Vol.2は”答え”だ。」といいます。
これを読み解くとVol.1はザ・ブライドとは何者?という問いであり、Vol.2はベアトリクス・キドーだ!という答え。のような感じになると思います。
つまり、Vol.2はキャラクターの深掘りに徹しているんです。Vol.1よりも会話シーンが多くなり、哀愁漂う雰囲気になっているのはそういうカラクリがあります。
キャラクターの深掘りと言えばビルの弟、バド(マイケル・マドセン)が圧倒的にいい味を出していました。
ビルという暗殺団のリーダーの弟でありながら、人里離れたトレーラーハウスに住み、堅気の仕事でボスの罵られ、自分は復讐されて当然だと悟りを開く。妙に人間臭いキャラクターでしたね。
そうそう、忘れちゃいけないのが、チャンバラアクションね。
エル・ドライバー(ダリル・ハンナ)との決闘シーンは本作一番の見どころといっても良いでしょう。面白いのが対オーレン・イシイとの対比です。
オーレン・イシイとの決闘に比べると、非常に荒々しく手口が汚い決闘に仕上がっていますね。これはエル・ドライバーの性格の現れですね。ひとえに汚いといっても、チャンバラアクションのバリエーションは非常に多く、次のカットへ進めば進むほどアクションが新しいので単純にみていて楽しいです。
このアクションシーンですが、ただのアクションシーンにとどまらず、ちゃんと映画的テクニックも込められています。
というのが、時々挿入される両者のクローズアップ、もしくは瞳に迫った超クローズアップです。このアクションシーンは非常にカット割りが多くめまぐるしく展開されるのですが、直前までゆっくりとした会話シーンでロケーションを見せておくことで位置関係が掴みやすくなっています。
さらにクローズアップや瞳の超クローズアップを挿入することで、戦いの最中、両者が何を感じているか掴みやすくなっているのです。
そもそもカット割りの激しいアクションというのはいくら斬新でも基本的には面白いわけがないんですよ。結局は両者の生の感情が大切なわけで。
ただし長回しは別です。次に何が起こるのか分からないという緊張感が生まれるからです。
故にスポーツ観戦や格闘技観戦といった類いのものは古来より愛されてきているというわけですね。
自分の場合1の方がb級っぽい感じを受けて
2の方が完成度の高い作品に見えましたね
実際に監督自信が切り分けて作ってるという事を知れてよかったです、