お疲れ様です!オレンチです!
今回はタランティーノ監督作品3作目!『ジャッキー・ブラウン』をお届します。
僕の初タランティーノは『キル・ビル』でした。
そこからの公開作は当然リアルタイムに近い形で鑑賞してました。
やはり映画好きとして避けては通れない『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』を追って鑑賞しました。
そう、僕『ジャッキー・ブラウン』は今回が初鑑賞なんです。
なぜかって端的にいえば忘れていたんです。
いや、「忘れた」という言い訳のもと、めんどくさがって避けていたのかもしれんです。
ごめんなさい。タランティーノ。
そんなこんなで『ジャッキー・ブラウン』いってみます。
作品情報
あらすじ
メキシコの航空会社に勤める中年スチュワーデスのジャッキーは、生活苦のため裏では武器商人オデールの運び屋をやっていた。ある時、ジャッキーはオデールを追っていたFBI捜査官のレイに逮捕されてしまう。レイからオデール逮捕に協力するよう持ち掛けられるジャッキーだったが取引には応じないまま保釈される。
人生半ばを過ぎ、現在の生活に限界を感じていたジャッキーは、親しくなった保釈屋のマックスと共にすべてを清算する一攫千金の計画を実行する。(Wikipediaより)
監督・スタッフ
- 監督:クエンティン・タランティーノ
- 脚本:クエンティン・タランティーノ
- 制作:ローレンス・ベンダー
- 撮影:ギレルモ・ナヴァロ
- 編集:サリー・メンケ
キャスト
- ジャッキー・ブラウン:パム・グリア
- オデール・ロビー:サミュエル・L・ジャクソン
- マックス・チェリー:ロバート・フォスター
- ルイス・ガーラ:ロバート・デ・ニーロ
- メラニー・ラルストン:ブリジット・フォンダ
- レイ・ニコレット:マイケル・キートン
- ボーマン・リヴィングストン:クリス・タッカー
感想・解説
タランティーノのニューシネマ
本作は全2作と比べると明らかに作品のトーンは変わり、哀愁漂う雰囲気に変わりました。
その理由はアメリカンニューシネマが根底に置かれているからだと思います。
つまり本作はタランティーノ流アメリカンニューシネマだと思うんです。
その証拠にタランティーノ作品では珍しく、『ジャッキーブラウン』には主要な登場人物に国家権力(FBI)登場しますよね。
アメリカンニューシネマの特徴は《政府への反発》です。
本作の冒頭は完全に67年公開のアメリカンニューシネマ『卒業』を意識されていますし、ラストの画角とパム・グリアの表情は『卒業』そのものです。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のインタビューの中で、「この時代は僕に最も影響を与えた時代だ」と言っているように、タランティーノがアメリカンニューシネマに思い入れがあることは明らかです。
よく前の2作と比較され、大人の味わいと言われたと思えば、物足りないと言われてしまったりもする正体は、アメリカンニューシネマに寄せたことが原因だと思います。
それっぽさを出すためくだらない会話やバイオレンスを極力封印して、キャラクターの深掘りに努めてますね。
面白いのが、アメリカンニューシネマは基本的に若者のアンチヒーローが特徴的ですが、本作は全員人生を折り返し出した40代~50代の物語だという点です。
ただ倣うだけでなく、自分流にアレンジしてくるあたり素晴らしいですね。
赤色は支配者の色
ほとんど映画にはイメージシステムというものが隠れています。
イメージシステムというのは、セリフでは語られないけどそのシーンまたはシークエンスで起こることの暗示や物語全体の主題を視覚的に暗示することを言います。
以前に評した『パルプフィクション』のドアノブは正しくイメージシステムと言えます。
オレンチ
超クローズアップは大体イメージシステムと直結します。
イメージシステムなどほとんど意識しない監督もいますが、大体の監督はなんらかの暗示というメッセージをフィルムの中に込めています。
そもそも映画にしかない表現技法であり、暗示は仕込んで然るべきだと僕は思います。
それこそ映画。ザッツシネマですよ。
オレンチ
デヴィット・O・ラッセルがメイキングの中で「ザッツシネマ!!!」と叫んでいたのがお気に入り
で、本作に隠された暗示というのが赤色です。
本作のシーンの中で赤色を身につけている人物がそのシーン、またはシークエンスの支配者になるんです。
少し例を出しましょう。
パム・グリアが近所のバーでサミュエル・L・ジャクソンと密会をするシーンがあります。
ここではパムが立てた計画を、サミュエルが聞き込み計画に賛同します。
つまりシーンの支配者はパム・グリアだと言えます。
そしてパム・グリアは赤いマニキュアに赤い飲み物を飲んでいます。
続くショッピングモールでパムがサミュエルとの密会後、ロバート・フォスターと会うシーン。
ここでは影から見ていたサミュエルにパムとロバートの関係を知られてしまいます。つまりシーンの支配者はサミュエルですね。そしてサミュエルは赤い帽子をかぶっています。
最後に見せ場である50万ドル奪還のシーン。
ここで最後に現金をかっさらっていくのはロバート・フォスターであり、のこシークエンスでロバートフォスターは赤いポロシャツを着ていました。
そもそも物語の勝者であるパムとロバートが初めて一緒に食事するシーンはスクリーンのすべてが赤く染まっていました。
このようにイメージシステムとは画面の中に多く隠されています。ぜひぜひ色々な暗示を探してみてください。