はじめまして!オレンチと申します。
この記事ではハリソン・フォードの”出世作”と言っても過言ではない『インディ・ジョーンズ』シリーズが、一体どんなシリーズなのか──、マニアックな視点から独自に分析した内容をお届けします。
次に『インディ・ジョーンズ』シリーズを見るときにもっと楽しくなるかもしれません、新しい気づきの助けになるかもしれません。
またこの記事を執筆時点では公開が控えている『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』がもっと楽しくなるような情報をお届けするので、ぜひぜひチェックしてみてくださいね!
隠れ「犬」映画な『インディ・ジョーンズ』シリーズ
映画にはニッチなファンを魅了する犬映画と呼ばれているものがあり、もはやジャンルとして扱っても良いくらい映画ファンの間では浸透しています。
そんな犬映画の定義(独断および広義としてですが)は、犬がメインテーマではなくとも、犬がキャラクターとして扱われ、強烈な印象を残す映画のことを人は犬映画と呼ぶのです。
最も代表的とも言える犬映画の一つが『ジョン・ウィック』シリーズで、このシリーズが登場したあたりから上記のような定義を持った作品が犬映画と呼ばれるようになった気がします。
他にもポストアポカリプスを描いたウィル・スミスの『アイ・アム・レジェンド』や、ともすると『遊星からの物体X』なども犬映画と呼べるかもしれません。
そんな犬映画ですが、なぜ『インディ・ジョーンズ』シリーズが犬映画なのでしょう。記憶の限り劇中にワンちゃんは登場しないですよね。
実はインディアナ・ジョーンズという名前に関係しているのです。
『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』のラストで、衝撃(笑撃)とも言える事実が発覚しますよね。そうハリソン・フォード演じるインディアナ・ジョーンズの本名はヘンリー・ウォルトン・ジョーンズ・ジュニアで、ジュニアと呼ばれることを嫌がったため、当時飼っていた犬の名前から自らをインディアナと呼んでいたんですよね。
この話には続きがあり、実はインディアナとは当時ジョージ・ルーカス(本シリーズの原案・プロデューサー)が飼っていた犬の名前から命名していたんです。
つまり『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』の企画中、ジョージ・ルーカスが飼っていた犬からノリで命名した経緯が、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』のラストで一種のギャグとして扱われていたんです。
さらに面白いのが、本作に登場するほとんどの主要な人物はスタッフの犬の名前を借りているんです。例えばマリオンは当時スティーヴン・スピルバーグが飼っていたワンちゃんの名前から命名されています。
少々記憶が曖昧で恐縮ですが『ザ・スーサイド・スクワッド”極”悪党、集結』のとあるキャラクターも当時ジェームズ・ガンが飼っていたワンちゃんの名前から拾っているそうで、傑作になる作品にはワンちゃんが幸運を運んでいるのかもしれませんね。
ウジャウジャと『インディ・ジョーンズ』
『インディ・ジョーンズ』シリーズは未開の地へ足を運び、様々な仕掛けや、ナチスやソ連といった巨大な対抗勢力を振り切り秘宝を探し出す、誰もが知る冒険活劇です。
そんなインディアナたちの行手を阻む、シリーズ共通の、ある要素があるのです。それというのがウジャウジャです。
実は『インディ・ジョーンズ』シリーズには、物量で攻めてくることで大きな障害となる場面が必ず用意されているんです。おそらくスティーヴン・スピルバーグの子供っぽさが全面に出た場面だと思うのですが、例えば『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』では大量のヘビがインディアナ・ジョーンズの行手を阻みますよね。
このヘビは実際に用意したようで、セットの数に対してヘビの量が少なかったため、3000万匹ほど追加で用意したというハリウッドのイカれ具合がよくわかるエピソードがあります。
続く『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』では夥しい数の虫が登場しますよね。こちらも実際に用意されていてケイト・キャプショーの体力を著しく消耗させた撮影になりました(笑
僕を含め『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』がトラウマになっている人は少なくないのではないでしょうか。
三部作のラスト『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』では大量のネズミが登場します。もちろんこちらも実際に用意されていますが、前2作とはアプローチが少々異なり、病気を持ったネズミを用意するわけにはいかないため、スタッフ総出でネズミを繁殖したそうです。情熱というかなんというか、求めるイメージを完成させるための監督たちの熱量は本当に凄いですよね。
19年ぶりの続編となった『インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国』では大量の軍隊アリが登場しますよね。流石にCGによるアプローチとなってしまっていますが、三部作の意思をしっかりと受け継いでいると言えるでしょう。
そんな『インディ・ジョーンズ』におけるウジャウジャですが、全てヒロインが対峙しなくてはならない使命を背負っているのも面白いところ。
『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』ではどんなウジャウジャが待っているのか、今から楽しみでなりませんね!
ヒロインと『インディ・ジョーンズ』
ヒロインの話をしたので、もう少し『インディ・ジョーンズ』におけるヒロインについて深堀してみます。
『インディ・ジョーンズ』シリーズのヒロインと言えば?と質問をしたとき、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』があるので、マリオン(カレン・アレン)と答える人が多い気もしますが、世代やお気に入りの作品によって、ある程度分散した回答が帰ってくるのではないでしょうか。
実は『インディ・ジョーンズ』シリーズは基本的に毎回ヒロインが変わるんですが、これは意図的な想いが込められていたんです。
というのもインディアナ・ジョーンズとヒロインのコンセプトは『007』シリーズをイメージしていたようで、言うなれば『インディ・ジョーンズ』のヒロインはボンド・ガールよろしくジョーンズ・ガールと呼んでいいのかもしれませんね。(男尊女卑的に考えるとアウトかもしれませんがw)
ここでジョーンズ・ガールを整理してみると、『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』はマリオン・レイヴンウッド(カレン・アレン)。
『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』はウィルヘルミーナ・”ウィリー”・スコット(ケイト・キャプショー)。
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』はエルザ・シュナイダー(アリソン・ドゥーディ)がそれだと言えるでしょう。
続く『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』は一見するとマリオンが再びジョーンズ・ガールに返り咲いたとも言えるかもしれませんが、ともするとイリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)がそのポジションを担っているのかもしれませんね。
ちなみにそんなプレイボーイ気質なインディアナ・ジョーンズの父親役を担えるのはこの人しかいない!ということで元祖ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーがキャスティングされたというわけでした。
70年代映画から90年代映画へと受け継いだ『インディ・ジョーンズ』
ここまで『インディ・ジョーンズ』をシリーズとして俯瞰して分析して来ましたが、映画史というロングショットで俯瞰してみても影響力を持っているように思えてなりません。
というのも『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の公開が1981年で、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』は1989年です。つまり1980年代というディケードは『インディ・ジョーンズ』の10年だったわけです。
『インディ・ジョーンズ』シリーズの面白さの源泉は、勧善懲悪な敵。とても展開が早くロケーションも次から次へと変わり”旅”というイメージを限られたフィルムの中で巧みに描いています。
それでいてほとんどのロケーション、シーンで心おどるアクションが用意されています。
要するに『インディ・ジョーンズ』シリーズというのは、分かりやすく希望に満ちた物語なんです。
90年代になってくるとこういった物語の構造をした映画は爆発的に増えてきます。しかし『インディ・ジョーンズ』以前の60年代後半から70年代の映画というのは、反政府的でバッドエンドな作品が非常に多いんです。
こういった作品群をアメリカン・ニュー・シネマと呼ぶのですが、これにはベトナム戦争の実態を知ったアメリカ国民たちが政府を信じられなくなったという背景があり、映画評論家の町山智浩さんはアメリカン・ニュー・シネマのことを「ハリウッドの反抗期」と比喩しています。
そんなハリウッドの反抗期にカウンターパンチを喰らわせたのが、アメリカン・ドリームを体現した『ロッキー』(76)で、『スター・ウォーズ 新たなる希望』(77)が公開されると人々は映画に希望を求めていくようになります。
考えるに『ロッキー』と『スター・ウォーズ 新たなる希望』は希望への起爆剤で、この炎を燃え上がらせ、80年代から90年台まで繋いだのが『インディ・ジョーンズ』シリーズだったのではないでしょうか。
そう思うと『インディ・ジョーンズ』シリーズは映画史においてとても重要な作品であるような気がしてなりません。
『インディ・ジョーンズ』シリーズの作品一覧と観るべき順番は次のとおりです。
観るべき順番については、公開順が絶対にベストです。なぜなら、劇中の時間が前後しようと映画は必ず公開された順番で作られているからです。劇中の時間が前後しようが、現実世界の時間は一方通行ですよね。
「前作よりも、もっと良くしよう。」「こんな遊び心を入れたら面白いかも。」といったような作り手たちの想いは前作から次作へと受け継がれているわけです。これを感じ取れるのは公開順でしかあり得ません。
というわけでこれから『インディ・ジョーンズ』シリーズを観てみたい!という人は、ぜひ公開順でトライしてみてくださいね!
というわけで『インディ・ジョーンズ』をシリーズとして俯瞰し、分析・考察した結果をお届けしてきました。
ストーリーを予習するのも当然面白いですが、一歩引いてシリーズに共通して存在する性格のようなものに目を向けると、映画はより一層楽しくなるかもしれません。
この記事を読んでくださっている方の多くは『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』を楽しみにしている人かもしれません。
この記事は各作品のストーリーにはあまり言及していませんが、シリーズとして『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』を比較的に楽しめるようになってくれたら感無量です。
さらに深い予習をするのであれば、『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』の監督に抜擢されたジェームズ・マンゴールドの作品をできる限り公開順に鑑賞してみると面白いかもしれません。
私は目下のところジェームズ・マンゴールド作品を予習中で、ジェームズ・マンゴールド作品にはどんな特徴が隠されているのか考察した記事を用意する予定ですので、ぜひ興味のある方はまた本ブログを訪れてくれると幸いです。
『インディ・ジョーンズ』シリーズの「犬分析」「ウジャウジャ分析」「ガールズ分析」、とても楽しく拝読しました。映画の魅力がいろいろな切り口から伝わってきて、ステキな解説に同じ映画好きとして感銘を受けました。
ところで、「マリオン」はスピルバーグの飼い犬の名前ではなく、脚本家ローレンス・カスダンの妻の祖母の名前みたいですよ。
https://www.ign.com/articles/2003/10/13/the-adventures-of-indiana-jones
スピルバーグの犬の名前は「ウィリー」、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』脚本家のウィラード・ハイクとグロリア・カッツの犬の名前は「ショートラウンド」と、特典映像や脚本家のインタビューで語られているみたいです。
https://www.ign.com/articles/2003/10/13/the-adventures-of-indiana-jones
http://legacy.aintitcool.com/node/67450
コメントありがとうございます!
そのようなコメントをいただき感無量です。今後も僕なりの切り口を開拓していこうと励みになりました。
また記事内容のミスの指摘、誠にありがとうございます!
誤った情報を発信してしまいすみません。大変助かります!
内容をご確認させていただき、修正いたします。