- 『思春期病棟の少女たち』を原作にした実話に基づく物語!
- 精神病院に入った少女が自分を見いだし成長していく物語!
- 心の混乱を演出した編集に注目!
オススメ度 | (4/5) |
公開日 | 1999年 |
制作国 | アメリカ |
上映時間 | 127分 |
ジャンル | ドラマ |
『17歳のカルテ』は1999年に公開された精神病院に入院している少女たちの物語で、『思春期病棟の少女たち』という寺田小説を脚色した映画。つまり実話を元にした物語というわけですね。
制作総指揮は主演のウィナノ・ライダーが務めており、なかなか良い脚本が決まらないことに焦ったウィナノがジェームズ・マンゴールドに相談したことで本作の脚色・監督がジェームズ・マンゴールドに決定したという経緯があります。
ウィナノ・ライダーが焦っていた理由については、どうしても自分がスザンナを演じたかったという理由があったのだと思います。というのもウィナノ・ライダーはスザンナに共感する部分が多く、ウィナノにとってのソフトストーリーだったのでしょう。自身が違和感なく演じれる年齢のうちに絶対に映画化したかったのだと思います。
脚色についても注目したい点があり、それというのがジェームズ・マンゴールドが本作を脚色するにあたって参考にしたのが『オズの魔法使い』だったそうです。
僕は本作を見始めた時「『カッコーの巣の上で』みたいな感じかな〜」などと安直に考えていたのですが、終わってみたら全くの別物で、『オズの魔法使い』を参考にしたという話には非常に納得が行きました。
というのも『カッコーの巣の上で』は反政府的なテーマを持ったアメリカン・ニュー・シネマであり、『オズの魔法使い』は異郷訪問譚と呼ばれる物語の類型を持った作品です。異郷訪問譚という類型は往々にして成長譚であることが多く、もちろん『オズの魔法使い』も成長譚としてカテゴライズされると思います。
本作ではスザンナをドロシーに、精神病院をオズの国に見立てたスザンナの成長譚なんです。
『カッコーの巣の上で』も『17歳のカルテ』も同じ1960年代の精神病院を舞台にした作品ですが、舞台が同じといえどここまで内容が違うわけですから映画って本当に面白いですよね。
外の世界では居場所のなかったスザンナが、精神病院の入院患者でありながらも真っ直ぐと生きる少女たちと触れ合い、友情を育むことによって自分を見いだすのが本作『17歳のカルテ』というわけですね。
非常にソフトストーリー的な物語であり、スザンナの心の葛藤に共感を持てる人にとっては生涯ベストになり得る作品かなと思います。
そんなソフトストーリー的で、心に訴えてくるような物語を持っている本作ですが、技巧にも光るものがあります。
それというのが本作の前半ではスザンナの心の混乱を表すために様々な試みがされています。
例えば過去と現在のショットを同じような構図にしてカットをつなぐことで過去と現在を混乱させたり、扉を開けると過去に戻ったショットになっていたり。こういった演出が後半に向かうにつれて、さりげなく無くし、映画全体を通してスザンナの成長を描いているというわけですね。
そんなわけで『17歳のカルテ』、超絶お勧めなので是非ご鑑賞ください。
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