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『HOUSE/ハウス』ネタバレ感想・解説・考察|神童のデビュー作

オレンチ

はじめまして!オレンチと申します!

今回は大林宣彦監督作品から『HOUSE/ハウス』(77)について書いていこうと思います。

早速ですが、以下目次からどうぞ!

『HOUSE/ハウス』の基本情報

  • 1977年/日本
  • 大林宣彦監督
  • 池上季実子、大場久美子

あらすじ

中学生のオシャレに父は再婚相手を紹介する。新しい母など考えてもいないオシャレはショックを受け、間近に迫った夏休みに仲間とオバチャマのところへ行くことに。夏休み、オバチャマはオシャレたち7人を歓迎するが、このオバチャマはすでに死亡していて…。

(U-NEXTより)

ネタバレ感想・解説・考察

怖いよこれ

納屋で家庭用映画映写機を見つけたことをきっかけに、映画への道を開眼。6歳ですでに自作のアニメ映画を制作していた神童、大林宣彦の初商業映画作品が本作『HOUSE/ハウス』(77)だ。

『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』と、監督の地元である尾道を舞台にした作品を「尾道三部作」と呼び、故郷への愛を映画に刻んでいる。

昨年(2020年)の4月10日、惜しくも82歳でこの世を去ってしまう。遺作は大林監督の集大成とも言える最後の尾道作品、『海辺の映画館─キネマの玉手箱』(2020)である。

 

『海辺の映画館─キネマの玉手箱』(2020)を見たいと思ったこともああるが、これまで大林監督映画を1本も見たことがないという罰当たりな状態であるということに気付いてしまった。

というわけで早速U-NEXTで配信している大林映画を出来る限り公開順に漁っていくことに。

1本目はホラー・コメディとのことだったが、おそらく僕はコメディの部分しか心構えができていなかったようで、完全にナーメテーターでした。

生首どちゃくそ怖いですやん。

物語のプロットは【人里離れた家が若い少女たちをひとり一人食べていく】というもので非常にわかりやすく、最初の犠牲者となる大食らいのマックは井戸に喰われてしまう。(たぶん井戸に喰われたはず。)

 

マックが井戸に喰われた直後あたりにやっていた友人のファンタ(脳内お花畑だからつけられたあだ名)がマックの生首を発見するのだが、緑がかった君の悪い肌色に塗られた顔と、赤く血走った目をさせながらニヤニヤと喋りだすのだ。

軽い気持ちで、夜中ホームシアターに一人で鑑賞していたので、正直血の気が引いてしまいその後の鑑賞を躊躇ったほど。

僕は何よりも人形のホラーが苦手なので、(『チャイルドプレイ』のレビュー参照)次に襲われるであろう少女(スウィート)が人形に襲われると確信したとき一瞬再生を止めてしまった。

まぁ結局、人形はクソほど大したこと無かったのだが本件の元凶であるオバチャマ(南田洋子)が、画面越しの視聴者──、つまり僕に向かってウインクするシーンは背筋が凍った。

 

怖いことは怖いのだが、デビュー作ですでに「第四の壁を破る」行為を巧みに操る大林監督の手腕にも驚かされる。

第四の壁とは?

舞台(映画)と観客とを隔てる見えない壁のこと。映画や舞台には向こう側の世界が広がっており、観客は第四の壁越しに物語を楽しむことになる。

普通は両者が干渉することはないのだが、舞台や映画の中から明らかに観客に話しかけるような行為を「第四の壁を破る」という。

有名な作品でいうと近年特に話題になった『デッドプール』(16)などがある。

実は親切な演出

そもそも大林監督ならではの編集によって、奇抜で難解な演出だと思われがちだが、実は視聴者に親切な編集が施されている。

例えばアイリスアウトを利用して、主人公オシャレの疎外感を視聴者に知らせたり、オシャレがオバチャマと劇中初めて再開した時は横構図のロングショットだが、二人のアップショットが交互にインサートされ、表情から心境をつかめるようになっている。

アイリスアウトってこれね。

 

また本作はクンフーによるアクションシーンが多く、ガチャガチャと被写体が動くため、今何が起きているのかわかりづらい。

とりわけ僕は、ガチャガチャしたアクションシーンで、演者の表情が見えないことを嫌うのだが、大林監督はアクションの合間と合間のおよそコンマ数秒だけフリーズフレームを作って、演者の顔を見せてくれるのだ。

 

そうそうオバチャマの家に来てからというもの、ひたすら誰かが囁いている演出もなかなか怖い。

たぶん家の家具たちが囁いているのだか、何て言っているのかはほとんど聞き取れず、何よりも登場人物立ちには全く聞こえてないことが怖い。

要するに”家のささやき声”は鑑賞者である我々にしか聞こえていない。ここでも第四の壁が突破されていて、自分にしか聞こえていない状況が何とも言えない不気味さを醸し出している。

 

今この記事を書いている時点で、本作を含め2作の大林宣彦作品を鑑賞済みということになるが、大林監督作品にはいずれも反戦のテーマが描かれているようにも思えるな。

 

本作の場合はわかりやすく、オバチャマは戦争によって最愛の恋人を亡くし、寂しさからモンスターハウスに成り果てた。飛行機の話をすればプロペラ機の音が聞こえてくるなど細かい演出もされている。

 

最後にゲスなことをひとつ。

本作のヒロイン、当時18才の池上季実子がむちゃくちゃ可愛い。

やばくね?

 

信じられないことに18才のアイドルである池上のポロリがあるよ。

というわけで今回は以上です。

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