オレンチ
はじめまして!オレンチと申します!
今回は『アメイジング・スパイダーマン』について書いて行こうと思います。
メガホンを取るのは『(500)日のサマー』などで頭角を表したマーク・ウェブ。トビー・マクガイアに代わってピーター・パーカーを演じるのは『ソーシャル・ネットワーク』で注目を浴びたアンドリュー・ガーフィールドです。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に向けた予習的な鑑賞なのでサクッとレビューしてみます。
というわけで以下目次より行ってみよう!
この記事はネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
『アメイジング・スパイダーマン』のネタバレ感想・解説・考察
同じような物語をなぞるには早すぎたリブート
いわゆる『スパイダーマン』シリーズにおける失敗作としてしばしば揶揄されてしまう『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ。
個人的に『アメイジング・スパイダーマン2』は非常に高い完成度を誇っていると思っているのですが、今作については評判通り多方での失敗を感じざるを得ませんね。
まず第一に多くの人が語っている「早すぎたリブート」という件。
『スパイダーマン3』が2007年公開に対し『アメイジング・スパイダーマン』が2012年の公開。なので5年越しのリブートということになります。
しかし『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』から『バットマンビギンズ』までは8年ほどの期間が空いておりリブート作品の中では比較的早めですが、こちらは成功しています。
5年よりも期間は空いていますが、大きな違いはないように感じます。
では『アメイジング・スパイダーマン』は何が問題だったのかというと、2002年公開の『スパイダーマン』と全く同じオリジンを描いてしまったことにあります。
先述した『バットマンビギンズ』が成功したのは、以前のバットマン映画でオリジンを描いたことがなかったため。いかにしてブルース・ウェインはバットマンへとなっていったのかというストーリーに観客は強い魅力を感じたんですね。
対する『アメイジング・スパイダーマン』をリアルタイムで見る観客は、すでにピーター・パーカーのオリジンを知っているんですよね。
なのでより細かくいうと「同じような物語をなぞるには早すぎたリブート」というわけです。
もちろん「同じような物語をなぞったリブート作品」は数多くあり、代表的なところでいうと『ミイラ再生』における『ハムナプトラ』で67年の期間が空いています。
0歳が老人になる期間!
また『猿の惑星』における『PLANET OF THE APES/猿の惑星』で33年の期間が空いています。
厳密には70年代まで『猿の惑星』シリーズが続くためもう少し期間は短いですが、それでも20年以上の期間は空いています。
さらに『暗黒街の顔役』における『スカーフェイス』は51年の期間が空いています。
リメイク版は「say hello to my little friend!!」という名言が有名ですね。
このように「同じような物語をなぞったリブート作品」を作る場合は少なくても10年以上は期間を空けないと、既視感が生まれてしまうんですよね。
逆に10~20年も間が開けば技術の進歩によって、新たな映像表現のアプローチができ、それだけで別物に見えてくるかと思います。
裏の存在になれなかったヴィラン
更によくないのは『スパイダーマン』(02)に比べ、第一幕が長すぎたことが挙げられるかと思います。
アメリカ映画の脚本は「三幕構成」といって三つに分割することがでできます。その中で第一幕の役割は「状況設定」で、本作において1つ大きなポイントとしては「クモに噛まれること」が挙げられるかと思います。
『スパイダーマン』(02)では開始から10分程度でピーターがクモに噛まれるのに対し、『アメイジング・スパイダーマン』(12)では20分くらいかかってしまっているんです。
当然ここまでの20分は物語が大きく前に進むことはなく、不快な長さ、ダラダラ感を感じてしまうでしょう。
開始から物語上の大きな変化まで時間が長いため、不快な長さを感じてしまう。
また第一幕で本作のヴィランとなるコナーズ博士の描写も不足しているように感じます。
『スパイダーマン』(02)ではピーターとクロスカッティングするようにノーマン・オズボーンのシーンが挿入されており、第一幕が終わる頃──つまりピーターがスパイダーマンの能力を自覚しだす頃には、ノーマンの不満もたっぷりと描けていました。
しかし『アメイジング・スパイダーマン』(12)でコナーズ博士の葛藤が見え出すのは映画が始まって1時間以上過ぎた後。それまでは秘められたヴィラン感も感じられず、あくまでもピーターが父親を追うためのアイテムとしか機能していませんでした。
もちろん全てのヴィランがヒーローとクロスカッティング的に描写しなければならないわけではありません。
例えば『アイアンマン』(08)のアイアンモンガーことオバディア(ジェフ・ブリッジス)は第二幕と第三幕の間でようやくヴィランだということが観客に示されます。
オバディアとコナーズ博士の違いは、オバディアは黒幕として機能している点にあります。つまりオバディアは物語が始まる前からヴィランだったんですよね。
しかしコナーズ博士の場合は劇中に課せられた障壁に次ぐ障壁によって不満が積もり、その力が闇堕ちを起こしヴィランとなっていくのです。この流れは『スパイダーマン』(02)におけるノーマン・オズボーンも同じですよね。
つまり善人が闇に堕ちるヴィランが登場する作品の場合、第一幕はヴィランのオリジンでもある必要があるかと思います。
この映画を観た後のおすすめ映画
最後に『アメイジングスパイダーマン』を観た人にオススメな映画をご紹介します。
オレンチ
同監督作や同じ俳優の出演作、僕が独断と偏見で選んだ類似作などを紹介しているので、次の作品選びの参考にしてみてくださいね!