オレンチ
はじめまして!オレンチと申します!
今回は『シャークネード』について書いていこうと思います。
早速ですが、以下目次からどうぞ!
『シャークネード』の基本情報
- 2013年/アメリカ
- アンソニー・C・フェランテ監督
- アイアン・ジーリング
あらすじ
海水浴客でにぎわうカリフォルニアのビーチを巨大ハリケーンが直撃。急激な海流変化と共にサメの大群が押し寄せ、ビーチは地獄絵図に。さらに3本の巨大竜巻が発生し、大量のサメを巻き込みロスへと向かう。サーファーのフィンは家族を助けに向かうが…。(U-NEXTより)
ネタバレ感想・解説・考察
頭を2つ引っ下げた『ダブルヘッドジョーズ』や、砂の中を泳ぐ『ビーチシャーク』。さらに火を吹く『シン・ジョーズ』など魑魅魍魎が跋扈する愛すべきバカサメ映画界だが、その中でも頭ひとつ抜きん出て有名なのが、本作『シャークネード』だ。
同作は人気を博し、合計で6作ものシリーズ化に成功している。
ちなみに今回6作を一気見したので、正直どの場面がどの作品かごっちゃになっている可能性があります。間違っている場所などあったらコメントから教えていただけるとありがたいです。
『シャークネード』の特徴については説明するまでもないが、竜巻(=トルネード)に乗ってサメが襲来する「サメパニック × ディザスター」モノである。
サメはエラ呼吸の件など自然の摂理は一切無視し、サメと竜巻を掛け合わせ“シャークネード”というモンスターに仕立て上げている。
要するにただのダジャレ。
こういったモンスターパニックの冒頭は、柔道の選手が必ず試合前に一礼するのと同じくらいモンスターのファーストアタックによって最初の犠牲者が出るのがセオリーであり、『ジョーズ』(75)から受け継がれている。
要するにモンスター映画には超わかりやすいツカミが必要不可欠で、専門用語的にいうと<インサイティング・インシデント>と言ったり言わなかったり。
本作も洩らすことなくシャークネードのファーストアタックが冒頭にあるのだが、他のモンスターパニックとは一味違う。
というのはクライム映画で見るような、ちょっとしたバイオレンスが混在しているのだ。
どうやらフカヒレの密猟をしているようで、船長とバイヤーが商談をしているのだが、嵐に紛れてバイヤーが金を持ち逃げしようとする。
そんな最中シャークネードが発生し、商談が行われていた船もろとも飲み込まれてしまうのだ。
正直このバイオレンス部分が思いっきりじゃま。
フカヒレの密猟に対するサメの制裁がコンセプトなのだろうけど、船長とバイヤーの銃撃戦がなくても成立するし、なんなら船長が若干アンチ・ヒーローのようにも見えてきてしまう。
船長とバイヤーの行く末か、迫りくるシャークネードか、どちらに集中して良いのか困惑するわ。
結局<船長とバイヤーの物語>は本編とは全く関係なく、主人公フィンがサーフィンをしているカリフォルニアビーチに大量のサメが襲来し、サーフィンや海水浴をしている人々を襲いだす。
おそらく本作でサメが海にいるのはこれが最後だろう。
襲われるサーファーはまだ良いのだが、くるぶし上程度の水深で遊ぶカップルが、あたかも危機迫るかのように描かれている。
「いやいや、浅いわ。」とツッコミを入れた矢先、浅瀬のカップルはサメに襲われてしまう。
やる気ある?
さらに水上バイクを操る友人がサメに襲われてしまったため、駆けつけたフィンが操縦を変わり浜辺に帰還するのだが、グリーンバックで撮影されたであろうバストアップショットでは、襲われた友人がフィンの肩に腕を回しているのに対し、ロケで撮影されているロングショットでは、両手でお尻あたりにある持ち手をしっかりと握り締め姿勢良く座っているのだ。
わかるよ。ちゃんと持ち手を持ってないと危ないからな。
この辺りから作り手の真面目度が伝わってくるので、映画を観る姿勢を同レベルの真面目度に合わせてみることしようと思う。
なんとかサメの襲来を切り抜けたフィンは、嵐の予報を知ったことで、海から10km離れた家に住んでいる元妻と元娘の身を案じるのだが、お前の店は海から10mくらいしか離れてないぞ。
フィンの理論なら人の心配をしているよりも今すぐその場を離れた方がいい。
結局呑気にビールなどを飲んでいるところに窓を突き破ってサメが襲来してしまう。
いわんこっちゃない。
やっと本気モードになったフィンたちは、元妻を救い出すため彼女たちの家へと向かうのだが、道中の天候がグチャグチャすぎて流石に目に余る。
車のシーンでは豪雨なのに、外に出ると明らかに日が差しているし、なんなら道路は乾いているじゃないか。
このようにショットのモンタージュが下手すぎて”迫りくる嵐感”がまるで出せてない。
間欠泉だったり、橋の上からの救出劇だったり、ディザスター映画を意識しているのは明らかなので、さすがに”嵐感が弱い”件は批判せざるを得ない。
とは言ったものの結局のところ、この映画とどれだけ真面目に向き合うか次第なので、必ずしも手抜きのような編集や撮影が映画の”つまらなさ”と呼応しないのが、映画の面白いところなのかもしれない。
ただハマーにニトロを仕込んだバカは殴ってやりたい。
映画が後半に進むと、工具が詰まった倉庫で装備補補充する”ゾンビ映画感”を一瞬光らせるが、心揺さぶる展開には今一つ発展せず、普通のチェンソーくらいが高テンションポイントだった(後にこのチェンソーの選択がシリーズの顔を形成していく。)
さてクライマックスは、ヘリコプターから爆弾を投下し、爆風によってトルネードを相殺するというとんでも作戦に打って出るわけだが、(おそらく)ヒロインのノヴァがサメに丸呑みされる展開はビビった。
最後のトルネードを相殺し、なんとか生き延びたフィンもサメに飲み込まれてしまうわけだが、サメの体内をチェーンソーで切り開くことで生還を果たす。
モンスターの体内から生還する件は、『トレマーズ』シリーズにおけるバート・ガンマーを思い起こさせる。もし、シリーズ化する前に見ていたら、『トレマーズ』の後を追って”シリーズ化”の兆しが見えたかもしれない。
サメの体内から生還したフィンにスタンディングオベーションを贈った僕だったが、まさかのノヴァ救出には本気で感動した。
嵐の描き方にも、サメの描き方にもやる気がなかった本作は、唯一ゴア描写には真面目だった。
血が苦手な人はご注意を。