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映画『運び屋』─メンターと主人公の反転─(ネタバレ・感想・解説)

お疲れ様です!オレンチです!

さてさて、久しぶりにスクリーンに戻ってきたクリント・イーストウッド。

『人生の特等席』以来で実に6年ぶり。齢88歳でっせ。

ていうか、『人生の特等席』の時ですでに82歳だったのかい!

『スペースカウボーイ』の時ですでにそこそこのジジイを演じたいたのにあれからもう20年近く経ってるんすねぇ。時が過ぎるのは早いですねぇ。。

もう俳優業は辞めて監督に徹するんだろうな〜なんて思っていたもんですから、突然の主演にはビックリいたしました。

でもその内容が「85歳のおじいちゃんの実話」ということでスムースに納得。

だって他に演じれるジジイがいないもの!!

はい。というわけで『運び屋』鑑賞してまいりましたー!

本題に入る前に率直な感想だけ伝えておくと、

ジャンルの不透明さがノイズになってしまったものの、あるシーンで大号泣してしまいました!

今のところ劇場で今年一泣いた作品でございます!!

作品情報

まず最初にサクッと作品情報からいっときます〜。

運び屋

原題  :The Mule
上映時間:116分
制作年 :2018年
監督  :クリント・イーストウッド

監督としては随分と仕事しているよね。イースト爺。

ただし前述した通り、スクリーンに戻ってきたのは実に6年ぶりで、全然色あせねぇ!!と言いたいところなんですが、どっからどう見ても流石にシッワシワになっとりました。

88歳のイースト爺や

まぁー流石に88歳ですからね。リドリー爺ですら81歳ですか。

なんだ。まだまだリドリー・スコット行けるやん!

81歳のリドリー爺や

でも一度セリフを喋った瞬間にそんなシワシワどうでもよくなるくらい嬉しかったですよ。ええ。

多分死ぬまで映画作り続けるのでしょうね。やることある人は長生きするで。

余談ですけど、新潟の石打丸山スキー場に80歳で現役のスノーボードスクールの先生がいますからね。人生全身し続ければなんでもできるんでしょう。多分。

キャスト

・クリント・イーストウッド
(アール・ストーン)
・ブラッドリー・クーパー
(コリン・ベイツ捜査官)
・マイケル・ペーニャ
(トレビノ捜査官)
・アンディ・ガルシア
(ラトン)
・アリソン・イーストウッド
(アイリス)
・ローレンス・フィッシュバーン
(主任特別捜査官)

「とりあえずクリント・イーストウッドは主演だから載せておかなくちゃ」

「ブラッドリー・クーパーも、もちろん載せておかなくちゃ」

「久しぶりにシリアスなマイケル・ペーニャだし載せておかなくちゃ」

「アンディ・ガルシアは外せないし載せておかなくちゃ」

「アリソン・イーストウッド!?実の娘だったの!?そりゃ載せておかなくちゃ」

「…そういえばローレンス・フィッシュバーン出てたわ。」

並べ出すとなかなかの布陣で、甲乙つけられず割と長めなキャスト紹介になってしまったわけですが、この中でローレンス・フィッシュバーンの役必要だった?という件に気づいてしまいました。

まぁいいか。その件は後ほど。

特に注目したいのが、やっぱしブラッドリー・クーパーですね。

イケメンやなー

クリント・イーストウッドとブラッドリー・クーパーが共演していることにのみ意味があるといっても過言ではないレベルでたまらんとです。

というかイーストウッド自身、この作品でブラッドリー・クーパーと共演することに意味を見出していると思うので後述します。

なぜ僕がそこまでたまらんのかというと、イーストウッドとクーパーウッドは師弟関係にあるからにほかなりません。

ていうのも、昨年話題になった『アリー/スター誕生』ですが、元々はクリント・ウエストウッドもといイーストウッドが監督をする予定だったのですが、これをブラッドリー・クーパーに譲ったんですね。

イーストウッドは当初、『アリー/スター誕生』をジェニファー・ロペスで進めようしていたのですが、ブラッドリー・クーパーがキャスティングしたのはご存知レディー・ガガでした。

これに対して、イーストウッドは「それは辞めておけ」と釘をさしますが、ブラッドリー・クーパーには絶対の自信があり、結局レディー・ガガで撮影されることになります。

完成した『アリー/スター誕生』を鑑賞した、イーストウッドはブラッドリー・クーパーに「俺が間違っていた。」と一言言ったそうですよ。

つうか娘役の女性、本当にイーストウッドの娘ウッドだったんか!

ここでブラッドリー・クーパーの役がスコット・息子ウッドじゃなくて本当に良かったと思います。ただのホームビデウッドに成り下がってちまうところだったよ!

あらすじ

家族をないがしろに仕事一筋で生きてきたアール・ストーンだったが、いまは金もなく、孤独な90歳の老人になっていた。商売に失敗して自宅も差し押さえられて途方に暮れていたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられたアールは、簡単な仕事だと思って依頼を引き受けたが、実はその仕事は、メキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だった。(以上、映画.comより)

感想・解説(ネタバレあり)

はい。ではここから少し真面目にやってみまっしょい!

解説

ではまず、『運び屋』を三幕構成に当てはめて分析してみましょう。

第一幕

2005年イリノイ州。花売りの主人公アールがデイリリーの品評会へと向かうところから映画が始まります。

品評会が行われるホテルでは、インターネットの普及が見え始めていて、アールはこれを快く思っていない。

アールの努力が功を奏し、品評会で賞を受賞する。

一方、時を同じく別の現場では娘の結婚式が今まさに行われようとしていた。

しかしそこにアールの姿はなく、当のアールは品評会での受賞に気を良くし、会場の人々に酒を奢っていた。

赤の他人の花嫁にまでも。この時アールは花嫁から目をそらす。

・インターネットの普及はすぐ次のシーンに起こることの前触れです。

・アールが花嫁から目を背けたことから、娘の結婚式を忘れていたわけではなく、ただただないがしろにしていたことが示されます。

12年後、ネットの普及により世の中は通販が主流となり、時代について行けなかったアールは花売りを失業していた。

アールは孫娘の婚約パーティーに姿を表すが、彼の味方は孫娘のみでアールと娘のアリソンは12年間会話を交わしてないことがこのシーンから伺える。

意気消沈気味のアールに、孫娘のパーティーに来ていた友人が話しかける。

彼はアールが失業していること、前科がないことにつけ込み運び屋の仕事を紹介するのだった。

・ここで本作のテーマを示すのと、物語の主軸となる運び屋業へのきっかけ作りが行われます。

・ただし、僕にはいささか強引なきっかけ作りのようにも感じます。事実はわかりませんが、少し都合が良すぎなように感じたためです。

仕事を受けるため、アールはカルテルの拠点へと向かう。

場面はDEAに変わり、ベイツ捜査官がここで登場する。彼は赴任したばかりで上司に家族との関係を気遣われる。

アールサイドに戻り、1回目の仕事のためアール軽快に車を走らせる。

ベイツ捜査官サイドに場面がうつり、内通者を作るためにメキシコ系が集まる店を監視している。

アールサイドに戻り、仕事が完了する。驚くほど簡単に報酬が得れることを知ってしまう。

ベイツ捜査官サイドにうつり、目星をつけたマフィアに圧力をかけ内通者として成立させる。

アールサイドに戻り、孫娘の結婚式シーンへ。

家族との関係を修復したいアールだったが、デイリリーの寿命を引き合いに、奥さんに諭されてしまう。

・さりげなくベイツ捜査官が家族のことを気遣っていることがポイントです。

・またここからアール、ベイツ、アール、ベイツと交互にショットの切り替えが頻繁におこわなれるようになります。

場面は変わり、家が差し押さえられていることが発覚。これが2回目の動機となります。

車が新車に乗り換えられていることから、報酬の額が相当なものだと伺えます。

2回目の仕事を終え、場面は退役軍人クラブへ。

店の閉鎖を救うため、3回目の仕事を行うこととなります。

ベイツサイドにうつり、タレコミで運び屋の仕組みがバレます。

アールサイドでは、3回目の報酬で退役軍人クラブが救われたことがわかります。

ここまでくると、やめられなくなっているのが伺えます。

ここではあえてベイツサイドをポイントにしていますが、ベイツサイドを出したいがための無駄なシーンに感じます。

というのもここでバレる内容が、サスペンス的ハラハラをもたらすわけでもなく、後々の展開に何一つ生きてこないのです。

ここまで本編が始まって大体30分です。

次から展開が少し変わるので第二幕に移ったと思ってよいでしょう。

第二幕

5回目の仕事を成功させたアールは、メキシコにいるマフィアのボスに気に入られ、より大きな仕事を任されるようになります。

8回目の仕事に向かう際には、すっかりカルテルの拠点にいたギャングと仲良くなっていて、アールは彼らの家族を気遣います。

8回目の仕事の道中、タイヤパンクして困っている家族を発見。修理を手伝います。

ここでアールは、ググってどうにかしようとしている若者に一喝入れます。

ベイツ捜査官サイドにうつり管理表が証拠として開示され、徐々に容疑者が絞り込まれている。

携帯ばかり見ている父親、という点に注目してください。

またここでも家族を気遣う描写が出てきます。

アールはとうとうメキシコへ招かれる。そこで組織のボス、ラトンと対面しなんとも羨ましい一夜を過ごす。

ひと段落すると、8回目の仕事から同行していたラトンに「ここから出て好きなことをしろ」とアドバイスをする。

するとラトンは、不満そうに声を荒げ組織こそが家族で、家族から離れることはあり得ないとアールに伝える。

つまり家族について諭されたのはアールの方だった。

ベイツ捜査官は摘発を実施するが、大きな糸口をつかめず失敗に終わる。この辺りからどんどんベイツ捜査官は仕事にのめり込んで行ってしまう。

アールは孫娘の卒業式に出席するが、ここでも依然として娘に無視されてしまう。

また何やら妻の調子が悪そうだった。

ベイツ捜査官が仕事にのめり込んで行ってしまっている点に注目してください。

ここで残り時間が約30分となります。

物語も大きく展開されるため、次から第三幕といってよいでしょう。

第三幕

マフィアのボス、ラトンが裏切りによって殺害される。

これをきっかけに、悠悠自適に運び屋をしていたアールへも影響が現れる。

「もう以前のように寄り道ができない」という状況がアールと観客に示される。

一方ベイツ捜査官は容疑者らしき車を抑えるが、ここでまたもから回ってしまう。

12回目の仕事へ。

道中のモーテルで、携帯を片手に製氷機を殴っている男に対して、アールは携帯を引き合いに注意する。

ベイツ捜査官は製氷機を殴っていた男が運び屋だと勘違いしてしまい、またも空振りをしてしまう。

翌朝のダイナーへ。

ここでアールの胸中が初めて語られる。

家族をないがしろにしてはいけないとアールがベイツ捜査官を諭す。

・寄り道ができない状況を作り出すことで、クライマックスを盛り上げようとしていますね。

奥さんが病に倒れ、最後の仕事と家族を天秤にかけられる。

もちろん奥さんに会いにいけば、寄り道となりアールの死を連想させる。

アールが最後に選んだのは家族だった。

これがきっかけでようやくアールは家族に受け入れられる。

直後奥さんは亡くなり、アールは逮捕されてしまう。

裁判で罪を認め獄中生活を余儀なくされるアールに対し、娘のアリソンは裏稼業を働いてたことに怒るどころか、面会の話をアールにする。

刑務所でアールがデイリリーを育てているシーンで幕引きとなる。

感想

以上のシナリオ構成を踏まえての感想ですがその前に、

「人は永遠には走れない」ってキャッチコピーを考えたやつ。でてこい。

どこをどう見たら職人の最後みたいな重々しいキャッチコピーを思いつくのか。

あと、サスペンス風に予告編を作るのもやめれ。

マーケティングとして人を呼び込むために、邦題を試行錯誤する件はよ〜くわかるのですが、内容とあまりにも乖離がある予告編はどうかと思うんですよ。僕。

まじでこの作品にサスペンス要素ないからな。

若干、「お、サスペンスっぽくなるか?」って部分がなんならノイズになるくらいだから。

 

はい、では気を取り直して感想ですが、

解説章でもところどころで書いた通り、“家族への贖罪”がテーマの映画ですね。

本編でも言っていたことをそのまま使いますが、伝えたいことは

「なんにしたって、家族のそばにいるのにお金なんかいらない。仕事なんかほどほどでいいんだ。そんなことよりも時間は買い戻せない。家族ともっと向き合って。」

ということだと思います。

この作品で非常に面白いな〜と思った点が、一見主人公に見えるクリント・イーストウッド扮するアールですが、実は反面教師でありメンターであるという点です。

では誰のメンターかといえば、ブラッドリー・クーパー扮するベイツ捜査官です。

メンターとは

物語の主人公に、解決に導く知識を与えたり、武器を与えたりする師匠的な存在。

二人は直接会うシーンが少ないものの、交互にショットが展開されるのにはそういった意味があるのだと思います。

家族をないがしろにして来た男と、今まさに家族から離れそうな危うい男の物語が『運び屋』なのです。

またキャストの欄でも述べたとおり、イーストウッドとブラッドリー・クーパーは師弟関係にありスクリーンを通した世代交代的なメッセージも感じられました。

俳優として、監督としての今後のブラッドリー・クーパーに大いに期待するとしましょう!

ちなみに僕がどこで号泣したかというと、アイリスがアールを許し、さりげなく面会の話を振るシーンで泣きました。まあまあヒクくらいの大粒で。

なんでだろ、ここは急に涙が止まらなくなってしまってちゃんと分析できてないんですが、恐らく自他共に家族として認め合えた瞬間を目の当たりにしたからかもしれねぇっす。

あとはただただエロジジイと化していたメキシコのワンシーンも見どころですわね。多分。

とまぁ美談はこのくらいで、

ベイツサイドの意味の無さがそこそこ目立ちます。特に前半部分。

交互のショットは当然「追うもの」と「追われるもの」を意識してしまいますし、ベイツサイドでは追われる方としたら嫌な条件がビシバシ出て来ます。

にも関わらず、アールサイドのハラハラ感がほぼ無に近い状態なのです。これはいただけねぇ。

あーそうそう。ローレンス・”不要”・フィッシュバーン問題が残ってた。

 

今回のフィッシュバーンって、

「よし、やれ」

「よし、行け」

「よし、実行しろ!」

しか言ってねぇじゃん!だから主任特別捜査官って少年Bと同じような名前しかもらえねぇんだよ!

フィッシュバーンのファンの皆様。ごめんなさい。

僕も好きです。フィッシュバーガー。(本当にローレンス・フィッシュバーン好きです。)

終わりに

ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!

オレンチ的にはいただけないな〜と思う点もいくつかありましたが、全体的に見ると良作の出来であることは間違いありません。

何より今一度スクリーンでクリント・イーストウッドの声が聞けたことがご褒美でした。

それではまた!

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