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【映画】『紅海リゾート -奇跡の脱出計画-』解説ネタバレ感想・伏線・考察|移民問題に切り込む一作【評価】

オレンチ

はじめまして。オレンチと申します。

今回はお話しする映画は、NETFLIXで配信されているオリジナル映画『紅海リゾート -奇跡の脱出計画-』です。

 

メガホンを取るのは個人的に初見なギデオン・ラフ。主演はキャプテン・アメリカ役でもよく知られるクリス・エヴァンスです。

というわけで以下目次より早速行ってみよう!

注意

この記事はネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

『紅海リゾート -奇跡の脱出計画-』のネタバレ感想・解説・考察

移民問題に切り込む一作

本作は1980年代ごろに実行されたイスラエル政府による《モーセ作戦》を題材にしており、史実から着想を得た物語となっています。ただしエンターテイメントとなり得るよう、かなりの脚色がされていることも抑えておくべきでしょう。

《モーセ作戦》とはエチオピアからスーダンまで逃れてきたユダヤ人をイスラエル国内へと移住させる作戦で、名前の由来はもちろん旧約聖書におけるモーセです。

モーセには同胞であるユダヤ人を、海を割ることでエジプトから脱出させた《出エジプト記》のあまりにも有名なエピソードがありますよね。

ちなみにエチオピアに住むユダヤ人のことをベタ・イスラエルと呼称するようです。当時のベタ・イスラエルは内戦による飢饉や、秘密警察(中央革命捜査局)による迫害によって苦しめられており、ベタ・イスラエルの移民は少数ながら今でも続いているようです。

モーセによる”海割り”を現代風に描いた作品にリドリー・スコット監督の『エクソダス:神と王』があります。

さて、以上のことから本作が持っているテーマは《移民》だということがよくわかるかと思います。本作が公開(配信)されたのは2019年7月31日。2019年といえばドナルド・トランプ元大統領が就任からまもなくして掲げていた《不法移民の取り締まり》をさらに強化したことで話題になっていた年です。

本作はそんな移民規制を反対する強いメッセージが込められているといって間違いないと思います。

移民規制が強化されたアメリカでは、不法侵入した移民の子供たちを施設へと強制的に収容する措置がとられていたのですが、その収容施設の環境が劣悪で食料や水も不足したことが明らかになった背景があります。

そんな中で右翼系タレントとしてよく知られるトミー・ラーレンが、

「劣悪な環境のなか、2,000マイルもの距離を子供たちにだらだらと歩かせる奴は犯罪者であると同時に、親としても失格よ」

とツイート。そこに本作の主演であるクリス・エヴァンスがこう反論しています。

「ワオ。思いやりや尊敬の念はおろか、一般的な認識が完全に欠如してることに驚いて言葉も出ない。ちなみに、地獄から抜け出すためだったら、たとえ炎の中だろうと僕は自分の子供を抱えてくぐり抜ける」

このツイートをされたのは本作が配信された翌日だということから、いかに当時、移民問題が深刻であったことがよくわかるかと思います。

オレンチ

キャプテン・アメリカを演じた俳優が、こうも英雄的発言ができるなんて、私生活でもキャプテンはキャプテンなんですね。

本作にみるエンターテイメント性

さて、ここまで書いてきた内容を見ると非常にシリアスで、重々しそうな空気を持った作品に思えてきますが、本作はそうはなっていませんよね。

先述通りかなりの脚色がされているので、エンターテイメント作品としてサクッと観ることができたかと思います。

似たような史実を脚色することで、エンターテイメント作品として作り上げた作品には『アルゴ』が代表的ですね。

『アルゴ』はイラン革命によってイラン国内に足止めを食らってしまった六人のアメリカ人を、映画のロケハンと偽って脱出させるサスペンス作品でした。

中でも第一幕で、作戦を遂行するために必要な様々な方面のスペシャリストを集めていく流れは、スパイ映画や犯罪映画に非常によくある構成であり、この流れのおかげあって後のエンターテイメント性を担保しているようにも思えました。

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