- 「舐めてた相手が実は殺人マシンでした」ジャンルを生み出した傑作復讐ムービー!
オススメ度 | (4/5) |
公開日 | 2014年 |
制作国 | アメリカ |
上映時間 | 101分 |
ジャンル | アクション 舐めてた相手が殺人マシン |
『ジョン・ウィック』は2014年に公開されたキアヌ・リーヴス主演のアクション映画。
監督は『マトリックス』などのスタントコーディネーターをしていたチャド・スタエルスキ&デヴィッド・リーチ。キアヌ・リーヴスは二人との付き合いが非常に長く、本作の脚本が届いた際、真っ先に二人に相談したそうです。
そんな本作は最大の特徴は【ガン・フー】という誰も見たことのない新しいアクションを確立した点。【ガン・フー】とはガン(銃撃)とカンフーを組み合わせた造語で、まるで拳銃を自分の体の一部であるかのように扱う動きが特徴的です。
銃口で殴って怯ませた矢先、ゼロ距離で射撃してトドメを刺したりしますw
物語の骨子は復讐劇で、その復讐の激しさや【ガン・フー】という斬新なアクションの魅力もあり、日本においては映画秘宝から”舐めてた相手が殺人マシンでした”という新しいジャンルさえも生み出しました。
“舐めてた相手が殺人マシンでした”というのは、ケンカを売った相手が元殺し屋やCIAのスパイだったという構造を持った作品で、第一幕(映画開始から約30分ほど)で復讐の理由を作り、第二幕ではどれだけヤバいやつに喧嘩を売ってしまったのかということをアクションで示し、第三幕で真の復讐を果たします。
要するにカタルシス製造機的なジャンルな訳です。(カタルシスは気持ちが解放されるなどの意味。要するに映画を見てスカッとすること)
上記の構造はまさに本作『ジョン・ウィック』の構造なのですが、”舐めてた相手が殺人マシンでした”という新しいジャンルを確立させたのにはそれなりの理由があります。
個人的には第一幕の流れがとても華麗で洗練されているから、後のアクションや復讐を果たす瞬間に異常なまでのカタルシスを産んでいるのだと思います。
第一幕の流れというのは、ジョン・ウィックという人物が今どんな状況に置かれているのかをクレショフ効果(モンタージュによって特定の印象を与える手法)によって観客に提示し、そんな状況でジョン・ウィックにとって一番大切なものを示しています。
そこまできっちりと土台を作った上で、ヘラヘラと一瞬で奪われるわけですから、ジョン・ウィックの怒りがまるで目で見えているか錯覚するほど伝わってくるようになっています。
表社会から裏社会へと戻っていくハードボイルド的な流れも魅力ですね。
このようにアクションばかり注目される本作ですが、本作のアクションがここまで魅力に感じるのにはしっかりとした土台があってこそで、監督のチャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチはこの辺りをしっかりと意識した真のフィルムメーカーだと思います。
アクションの映し方もよくできていて、長回しでリアリティを与える映像であることに加え、カメラがガチャガチャと動かないことが素晴らしいですね。
カメラがガチャガチャ動かすと、なんとなく派手なアクションシーンに見えてきますが、結局被写体が何をしているのかよくわからないので、ストレスフルな映像になります。若い頃のマイケル・ベイがよく使った手法で『バッド・ボーイズ』などを見てもらうとわかりやすいと思います。
本作のアクションシーンはほぼ定点のような撮影の仕方をしており、どんなアクションが行われているのか明白。これは殺陣がしっかりと考えられていて、演者とスタントが長い時間をかけて訓練した賜物です。
ここまで定点的な撮影ができるということは空間の把握と立ち位置など入念な打ち合わせがされているはず。
そんな努力の成果をガチャガチャしたカメラワークで誤魔化すのではなく、しっかりと見せたいと思うのは当たり前と言えば当たり前ですよね。
またコミック感とリアリティの調和も本作の魅力の一つ。例えば本作にはほとんど警察が現れないんです。警察が出てくるのはジョンが表社会にいた時のみで、裏社会に足を踏み入れるとどんなに残虐な行為が街中で行われようと表社会の番人である警察は現れません。
その代わりに裏社会の統率をとっている組織のようなものが現れます。
「風景に潜む」というテーマや「殺し屋の暗号」の作り込みのセンスが高いので、コミック感を強く感じることができるんですね。
例えば「風景に潜む」についていえば廃棄物処理業者や、協会、コンチネンタルホテルなどがあり、どのように潜んでいるのかは是非本編でご確認いただければと思います。
「殺し屋の暗号」とは何かというと、殺し屋同士だけに意味が伝わる暗号のことで、本作の場合”ディナー”がまさにそれです。
レオンのオマージュがあったり、ナイフの刺さり方にコーエン兄弟における不快感をのせたり、黒澤明作品を彷彿させるような大粒の雨の中で格闘したりと、チャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチの映画愛も感じる作品でした。
また本作で少しだけジョン・ウィックを追い込むキリルを演じたダニエル・バーハードと、ドクターを演じたランドール・ダク・キムは『マトリックス リローデッド』に出演しており、ちょっとしたマトリックスの同窓会にもなっていますね。
そんな『ジョン・ウィック』、是非ご覧ください。
配信状況は上記の通り。『ジョン・ウィック』はU-NEXT、Amazonプライムビデオ、Hulu、NETFLIXにて見放題で配信されています。
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