- 人種差別にホラーの比重が寄せられていて、本作でしかできないメッセージを発信している傑作!
- 気づかない人もいるであろう超常現象も随所に演出されており”意味がわかると怖い”演出が秀逸!
- 終始アートをモチーフとした作劇になっており、なかでも都市伝説を語る際は影絵で演出されているのがワンダー!
オススメ度 |
公開日 | 2021年 |
制作国 | アメリカ |
上映時間 | 91分 |
ジャンル | ホラー |
『キャンディマン』は2021年に公開されたホラー映画。
1992年に同タイトルで公開されており、現代にアップデートされたリブート作品・・・と思いきや、しっかりとした続編でした。『トップガン』における『トップガンマーヴェリック』、『ハロウィン(78)』における『ハロウィン(19)』のような、昨今流行りの”世代を超えた続編もの”といったところですね。
『キャンディマン(1992)』 『トップガン マーヴェリック』ちなみに95年には『キャンディマン2』、99年には『キャンディマン3』が公開されていますが、現段階ではVHSでしか観ることができず、2021年版の『キャンディマン』と繋がりがあるかはわかりません。
個人的に92年に公開されたオリジナルの『キャンディマン』はお勧めできるような作品ではありませんでしたが、本作は驚くべきレベルアップをしており、2021年の公開作品では5本の指に入るくらいの完成度だったと思います。そんなわけでぜひぜひ観ていただきたい作品ですね。
本作を120%楽しむためには92年の『キャンディマン』の鑑賞も必須かと思うので、ぜひ合わせてご鑑賞ください。
本作の何がそんなに良いのかというと、『ゲットアウト』や『アス』のジョーダン・ピールが参加しているおかげあってか、人種差別問題が非常に上手く物語の中に組み込まれているんです。
92年版でも同じ人種差別のテーマを持っていましたが、キャンディマンの男性性(キャラクター性)にホラーの比重が傾いており、結局のところ他と変わらないホラーになってしまっていました。しかし本作はキチンと人種差別にホラーの比重が寄せられているので、本作でしかできないメッセージを発信しています。
そのメッセージとは“何がキャンディマンを生み出すのか”といったところで、”何が”についてはぜひ本編で確認していただければと思います。
ではメッセージ性が強力で小難しい作風になってしまっているかと言えば、そういうわけでもなく、同じく92年版で問題だったジャンル映画としてのセオリーもキチンと踏襲されているのでこちらも好印象。
本作のジャンル映画のセオリーが何かといえば、”死のルール”があり、そのルールによって起こるアタック(幽霊やモンスターが二限に接触・襲うこと)かなと思います。
《鏡に向かって5回「キャンディマン」と唱えると死ぬ》という明確なルールがあるのにも関わらず、92年版ではそのルールによって犠牲になる人物はほぼゼロだったのですが、本作では何名も様々なパターンで犠牲になる人が出てきます。
この手のスプラッター映画を見るなら、やはり犠牲になる描写を期待しますよね。本作はそんな期待にもしっかりと応えてくれます。
さらに非常にさりげなく、ともすると気づかない人もいるであろう超常現象も随所に演出されており”意味がわかると怖い”演出も秀逸です。
鏡がとても重要なファクターなので、鏡を思わせる演出も多く、とりわけ主人公がキャンディマンに取り憑かれだすと、明らかに鏡に映る構図(本物と鏡に映った、画面上に同じ人物が二人いるような構図)が増えるのもこだわりを感じて好印象でした。
主人公がアーティスト関係者なので、終始アートをモチーフとした作劇になっており、なかでも都市伝説を語る際は影絵で演出されているのがワンダーですね。
監督のニア・ダコスタの次の作品はMCUの『マーベルズ』ですが、一気に期待度が上がりました。
そんなわけで『キャンディマン』、是非ご鑑賞ください。
配信状況は上記の通り。残念ながら現在『キャンディマン(2021)』を配信している動画配信サービスはありません。
そのため『キャンディマン(2021)』を見るならDVDを購入するか、TUTAYAなどでレンタルする必要があるかなと思います!