ポットキャスト始めました!

映画『SING(シング)』ネタバレ感想・解説─背骨がしっかりした群像劇だから見やすい!─

みなさんこんにちは!オレンチです!

今回はミニオンでお馴染み、イルミネーション・エンターテイメントから映画『SING』のレビューをお届けいたします。

ちょいと前の作品なんですけどもね。子供と一緒に見る機会があったので書きました。

改めて見るとやっぱりと言いますが、背骨がしっかりした群像劇でした!

作品情報

SING(シング)

原題:Sing
上映時間:108分
制作年 :2016年
監督  :ガース・ジェニングス

キャスト

・マシュー・マコノヒー(内村光良)
・トリー・ケリー(MISIA)
・スカーレット・ヨハンソン(長澤まさみ)
・タロン・エガートン(大橋卓弥<スキマスイッチ>)
・ニック・クロール(斎藤司<トレンディエンジェル>)
・セス・マクファーレン(山寺宏一)
・リース・ウィザースプーン(坂本真綾)

あらすじ

人間世界とよく似た、動物だけが暮らす世界。コアラのバスターが劇場支配人を務める劇場は、かつての栄光は過去のものとなり、取り壊し寸前の状況にあった。バスターは劇場の再起を賭け、世界最高の歌のオーディションの開催を企画する。極度のアガリ症のゾウ、ギャングの世界から足を洗い歌手を夢見るゴリラ、我が道を貫くパンクロックなハリネズミなどなど、個性的なメンバーが人生を変えるチャンスをつかむため、5つの候補枠をめぐってオーディションに参加する。(映画.comより)

感想・解説(ネタバレあり)

まずはオレンチ的感想から言いたいことを言って、その根拠をストーリーに沿ってこじつけていきたいと思いやすw。最後までお付き合いしてくださったら嬉しいですよー。

感想

率直に言うと、大人の楽しめる─。というより、老若男女どの層であったとしても一定水準以上に楽しめる良作エンターテインメントって感じですね。

その理由としては、冒頭でも述べたとおり背骨がしっかりした群像劇であることにほかならないでしょう。

[box05 title=”群像劇とは”]

同一の世界や舞台において、複数の登場人物の短編からなる物語。

もしくは一見別々のエピソードに見えるが、最終的にはひとつのストーリーへとつながる物語のことを言う。

いわゆるオムニバス。グランドホテル方式とも言う。

[/box05]

前者は『ラブ・アクチュアリー』などが有名ですね。後者でいうと、『X-MEN』や『アベンジャーズ』なども群像劇になるでしょう。

肝心の『SING』はどちらに分類されるかというと、後者になるかと思います。

「背骨」とは主となるストーリーラインのことを指していて、本作の主たるストーリーラインというのは歌のコンテストですね。

登場人物さえ多い『SING』ですが、彼らは全員「歌のコンテストを成功させる」という目的を持って行動しています。

それぞれコンテストを成功させたい動機は違えど「コンテストの成功」というゴールは全員共通しているため、観ている側は思考が迷子にならず非常に観やすいつくりになっています。

思考が迷子にならないというのは楽しいエンターテイメントには必要不可欠なことですね。

 

この手の群像劇は、《それぞれ問題を抱えていた主人公たちが自らの力や協力することによって問題をクリア(殻を破る)し大円団を迎える》というのが定石で本作も例外ではないのですが、

本作の場合、音楽という共通言語によって最も盛り上がっているタイミングで「殻を破る」瞬間が訪れることによって観客の感情を揺さぶりにかけてますね。

この揺さぶりはもちろん大成功ですね!

背骨がしっかりとしている分、それぞれのエピソードが少し弱い気もしますが、108分というまとまりとこの見易さをとってすれば、それも野暮なことでしょう。

解説

ではここから『SING』のストーリーをいくつかのシーンに区切って、感想の根拠を解説していきますね。

第一幕

劇場で、ナナ・ヌードルマンのショーが行われている。

その姿に魅了されたバスター・ムーンは宇宙飛行士になる夢を捨て、劇場の支配人になることを夢見る。

数年後に念願の劇場を手に入れるが、さらに数年後ムーン劇場はキャストへのギャラを支払えないほど経営不振に陥っていた。

支払いを求めるキャストから逃げるようにバスター・ムーンはランチへと向かうのであった。

ここでは、バスター・ムーンが「いかに劇場に対しての思い入れが強いか」ということを示していますね。

タイトルコールがあり、

ゴリラのジョニーが路地裏で歌を歌っている。ジョニーは強盗の見張りをしていたが、歌に夢中で警官に気づかなかったため、強盗が警官にバレ、カーチェイスが始まる。

カーチェイスから流れるようにカメラはブタのロジータの家へ。子供が多く、家事に追われていることがうかがえる。

ハリネズミのアッシュのライブシーンに場面が写り、気持ちが高ぶったアッシュはつい歌ってしまうが、これを彼氏に注意されてしまう。

ゾウのミーナのシーンへ。歌の才能がうかがえるが病的に恥ずかしがりだということが見える。

ネズミのマイクの路上ライブへ。才能はあれど素行の悪さが目立つ。

ここでは、主要メンバーの紹介を歌がテーマの映画らしい手法で行います。まだ彼らの悩みは垣間見える程度で、深いところまでは突っ込まずあくまでも紹介することに重きを置いています。

紹介もメドレー的でとても見やすいです。

また、全員共通して歌に熱意を持っていることがわかります。この点が主たるストーリーラインからブレさせない理由ですね。

視点はバスタームーンへ戻る。

ムーンは高級レストランで羊のエディと会話中。歌のコンテストを開く向けを説明している。

劇場に戻り、コンテストの計画中に謝って賞金が跳ね上がってしまう。

内容を確認することなくアクシデントにより、チラシはばらまかれてしまう。

この場面から主たるストーリーラインが動き出します。

持ち込み禁止のレストランでお弁当を食べるなど、バスタームーンが手段を選ばないような性格であることもわかります。

強制的にチラシがばら撒かれたことは後戻りできない理由づけでしょう。

またイカの水槽が映し出されるなど、『SING』の世界観を軽く紹介するようなショットにもなってますね。

翌朝、大勢の応募者が劇場へと殺到する。

オーディションはモンタージュで進行され、多くの動物がオーディションへと挑む。

オーディションが終了し、出演者が決定する。

ようやくバスタームーンは賞金に誤りがあったことに気づくが、父親が託してくれた劇場を潰せないと、最後の賭けである歌のコンテストを続行する。

オーディション終了後、主要メンバーそれぞれのシーンへ。

アッシュだけ合格したことに文句を言う彼氏にアッシュは不満そうだったり、不合格に落ち込むミーナ、マイクはバーに入れず不機嫌になっていたり、ジョニーの父親は最後の強盗計画を立てたりしていた。

この場面で、登場人物たちが主たるストーリーラインに乗り込む理由と、それぞれ解決すべき問題が提示されていると思います。

第二幕

歌の稽古が始まる。

いざ稽古が始まると、なかなかうまくいかず、稽古中に電源が切れる。

電源の復旧にバスタームーンが劇場から出ると、オーディションで不合格となったミーナの姿が。

バスタームーンはミーナを利用し、劇場の電源を復旧させる。

マイクは賞金をツテに借金をして念願のバーへ入ったり、ジョニーは本当はやりたくない強盗のための運転練習をしたりと、各自のエピソードも展開される。

ここまでバスタームーンがルールを守れないような性格であることが表現されてきたので、電源を盗む件もスムースに見れます。

これはミーナがストーリーラインに戻るための動機ですね。

また、各自のエピソードでは負のメドレーとして、彼らが解決すべき問題が浮き彫りになってきます。

マイクのイカサマがバレ、なんとかその場を逃れるがクマのギャングから恨みを買う。

バスタームーンはエディの祖母、ナナ・ヌードルマンへスポンサーになってもらうべく自宅を訪ねる。

なんとかアポを取りプレ公演が決定するが、

アッシュは彼氏の浮気を引きずり泣き出してしまい、ロジータは型に囚われ上手く踊れない等、各自のエピソードはどん底へ。

しかし、ジョニーがピアノの練習に励む姿や、アッシュの作詞が認められたり、ロジータの華麗なる踊りなど、成功のイメージもチラつかせている。

ついに、マイクが恨みを買っていたクマのギャングが劇場まで現れ、舞台装置とともに劇場が倒壊してしまう。

この場面では、第三幕の大円団で観客の感情をより動かすためにフラストレーションの貯めを行なっています。

ただしとにかく落とすだけではなく、成功のイメージもチラつかせることによって、大円団への助走もつけていますね。

さあ、落ちるところまで落ちて第二幕は終了でしょう。最後にサクッと第三幕を見ていきましょう。

第三幕

コンテストの出場者たちに励まされたバスタームーンは、一から出直すべく今自分にできること、父親が汗水流した洗車業を始める。

洗車屋をしていると、素晴らしい歌声が聞こえてくる。

歌の元へ駆けつけるとミーナだった。

全員再招集し、今度こそコンテストを再開する。

 

あとは言わずもがなですね。

最高のメドレーとして、各自が解決すべき問題を歌うことで解決し、多くの人が感じた感動の大円団へとつながっていくのでした。

終わりに

最後まで読んでいただきありがとうございました!

吹き替えが良い!とか歌が良い!とかは語り尽くされているので、今回オレンチ的にはあまり触れませんでしたが、吹き替えに対する仕事している感がやっぱり本作は凄いですね。

それではまた!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です