「マナーが、人間を、作るんだ」が強烈なキメ台詞として印象に残る『キングスマン』ですが、『キングスマン』と言えばスパイ映画。
スパイ映画と言えばやはり『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開が待ち遠しい007 = ジェームズ・ボンドですよね。
そんなジェームズ・ボンドには『キングスマン』のキメ台詞を体現するかのような誕生秘話が隠されていました。
はじめは粗削りだったショーン・コネリー
そもそも『007シリーズ』は元軍人で小説家のイアン・フレミングが、自身の経験に基づき生み出された人気スパイ小説。
そんな人気スパイ小説を初めて映画化されたのが1962年に公開された『007/ドクターノオ』でした。
これまで6人もの俳優が007シリーズの主人公ジェームズ・ボンドを演じてきましたが、彼らから共通して与えられる印象は紳士的であり時に冷酷。女性の扱いが上手くファッションやお酒に精通している─、要するにあらゆる点で洗練されているということですよね。
そんなジェームズ・ボンドのイメージを決定づけたのはまぎれもなく初代ジェームズ・ボンドであるショーン・コネリーなわけですが、『ドクターノオ』の撮影が開始される前までショーン・コネリーは、あらゆる点で洗練さに欠けていたと当時の関係者は語ります。
ショーン・コネリーは労働者階級の家に生まれ、『ドクターノオ』で俳優として成功するまでは裕福とは無縁の生活を送っていたそうです。
つまり必然的に紳士的なマナーや振る舞いと無縁な人生だったということになります。
無名俳優だったコネリーをジェームズ・ボンド役に推したのは『ドクターノオ』を含め『ロシアより愛をこめて』『サンダーボール作戦』と計3作の007シリーズの監督を務めたテレンス・ヤング。
テレンス・ヤングは自身の監督作『虎の行動』にショーン・コネリーが出演していたことから、彼を「ダイヤモンドの原石」だと語りその才能を見抜いていました。
さらにテレンス・ヤングを知るスタッフ達は皆口をそろえて「ジェームズ・ボンドとテレンス・ヤングが重なる」と語ります。
ここまで語ればすでにお気づきかと思いますが、ショーン・コネリーにジェームズ・ボンドらしさを叩きこんだのは、シリーズ1作目、『ドクターノオ』の監督であるテレンス・ヤングだったのです。
紳士的キャラクターの仕掛け人、テレンス・ヤング
テレンス・ヤングは自身を担当する仕立師の元へショーン・コネリーを連れていき、オーダーメイドのスーツを与えます。
そのほか歩き方やシャンパンの鮮やかな扱い振りなど、コネリーボンドの全てがヤング流。
ヤングの指導があって、ショーン・コネリーはジェームズ・ボンドを演じる自身をつけていったそうです。
まさに「マナーが、人間を、作るんだ」を体現した結果だとはいえないでしょうか。
労働者階級出身だと言う点も、『キングスマン』のエグジーに重なりますし、仕立師の元でオーダーメイドのスーツを与えられる点もなんだか重なりますよね。
さらにショーン・コネリーはジェームズ・ボンド役で俳優として大成し、ついには2000年にエリザベス2世女王からナイトの称号を与えられました。