はいどうも。オレンチです。
カインズって知ってます?なんならカインズビールって知ってます?
正式名称を黄金(こがね)というんですけど、1本85円と低価格でありながら、第三のビールの救世主『金麦』に引けを取らない美味しさであるにもかかわらず。
- 黄金
- 黄金(WHITE)
- 黄金(BLACK)
- 黄金(芳醇)
- 黄金(ストロング)
と大変種類が豊富な夢のようなビールなのです。
お近くにカインズがあったら、黄金探してみてくださいね。
というわけで今回は夢の中で殺される話、『エルム街の悪夢』(84)行ってみます。
感想・解説・考察
●フレディの家
1978年に公開されたスプラッター映画の始祖的映画『ハロウィン』(78)に触発され、ウェス・クレイヴンとニュー・ライン・シネマによって生み出されたのが本作『エルム街の悪夢』(84)だ。
『エルム街の悪夢』(84)よりも前のニュー・ライン・シネマは大きなヒットに恵まれなかったが、本作のヒットを受けその名が知れ渡り、以来6作ものシリーズをほぼ毎年のスパンで作り出すことになる。
まるで夏休みに全国の少年が楽しみにしている
「ドラえもん映画」みたいだ。
つまりニュー・ライン・シネマは『エルム街の悪夢』に育てられたと言っても過言ではなく、本作がなければ『ロード・オブ・ザ・リング』(02〜04)三部作も無かったかもしれないのです。
そのためニュー・ライン・シネマは本作へ敬意を払い、陰では「フレディの家」と呼ばれています(マジです)。
悪夢に怯えたティナ(アマンダ・ワイス)の頼みでナンシー(ヘザー・ランゲンカンプ)、グレン・ランツ(ジョニー・デップ)、そしてティナの恋人ロッド・レイン(ニック・コッリ)ら4人は一夜を共に過ごすことになる。
その晩ティナは、昨晩夢の中で襲ってきた男に再び襲われ、夢と現実で絶命してしまう・・。
若すぎるジョニー・デップに気を取られほとんどこの辺りのシーンに集中ができなかったことは置いといて、ティナが夢から覚めた時、服にフレディの爪痕が残っている件は、「なんか怖い夢みっちゃってさ〜」のレベルを軽く凌駕しているよなぁ。
友人が惨殺されたことで憔悴するナンシーの元にもフレディの魔の手が延びることになり、授業中にうたた寝をしてしまったことで、学校内でフレディと接触することになるのだが、ここからがなかなか良いです。
まず死体袋越しに手招きするティナがそこそこ怖い。
テーマには「夢の世界」が置かれているので、当然ながら登場人物達は夢と現実の世界を行ったり来たりするわけですが、行き来の瞬間が良くでいているんす。
映画にはショットとシーンというものがあって、ショットとはカットが割られるまでの映像を示し、シーンとは映画の中で最も短い単位の出来事を示します。
主にシーンは「場所が変わる」「同じ場所だが時間が変わる」ことで切り替わり、ショットの連続でシーンが形成されるのです。
しかし『エルム街の悪夢』ではこの関係に逆転現象が起こっており、カット割することなく──、つまり同一ショットの中でシーンが切り替わるのです。
ナンシーが授業中に夢の中に入っていく場面が最もわかりやすいです。
同ショットはナンシーをミディアムショットで正面から写続け、コクリと一瞬目蓋を閉じた瞬間、ナンシーは夢の世界に入っていますよね。
ナンシーが目を開き、リバースショットになると死体袋に入ったティナが立っており夢に入ったことを観客は認識します。
このようにして《いつの間にか夢に入ってしまった》演出をしているというわけでございます。
ここと対照的なのが、ナンシーがフレディ・クルーガーとの対決を決意し自ら夢の世界に入り込んで行く場面。
この場面では目を瞑ったショットでカットが割られ、次のショットではナンシーは夢の世界を歩いています。
カット割とかシーンの使い方ひとつで《いつの間にか》と《自ら進んで》の描写を変えられるんだからやっぱ映画って面白いですな。
ちなみにナンシーは精神を疑われ、脳波の検査を専門家にされることになりますが、どんなに脳波を調べるためでもアゴに貼ったそれは必要なのかな?
●フレディの『ホームアローン』
「寝たら殺される」というコンセプトは『呪怨』(03)で身を隠した布団の中に現れるカヤコよろしく、こちらのセーフルームを荒らし逃れられない恐怖を演出しております。
がしかし、本作『エルム街の悪夢』は怖いというより、夢の中の仕掛けの一つ一つが存外芸術的でございます。
「悪夢を視覚化したらこうだろうな〜」という作り手達の遊び心が伝わってきて、なんなら次の仕掛けが気になるほどでした。
なんだか「フレディ・クルーガーの『ホームアローン』(90)みたいだなー」なんて思考力ゼロで鑑賞してたら、現実に連れてこられたフレディがホームアローン的仕掛けにぶっ飛ばされておりました。
なんか前章のタイトルにした「フレディの家」と繋がってしまった。
スタッフ
- 監督:ウェス・クレイヴン
- 制作:ロバート・シェイ
- 制作総指揮:スタンリー・ダデルソン、ジョセス・ウルフ
- 脚本:ウェス・クレイヴン
- 撮影:ジャック・ヘイトキン
- 編集:リック・シャイン
- 音楽:チャールズ・バーンスタイン
キャスト
- フレディ・クルーガー:ロバート・イングランド
- ナンシー・トンプソン:ヘザー・ランゲンカンプ
- ドナルド・トンプソン警部補:ジョン・サクソン
- マージ・トンプソン:ロニー・ブレイクリー
- グレン・ランツ:ジョニー・デップ
- ロッド・レイン:ニック・コッリ
- ティナ・グレイ:アマンダ・ワイス
- パーカー巡査部長:ジョゼフ・ホイップ
- キング医師:チャールズ・フィッシャー