はいどうも。オレンチです。
梅雨が明けまして、打って変わって猛暑が続いております。
セミ、鳴いてますね。
セミが鳴いているということは間も無くセミファイナルの時期も近いということですね。
セミファイナルとは、地上での1週間という短い生涯を終えて死んでいるはずのセミが渾身の力で地面を這いずり回るアレ。
あまりに突然に激しく大音量で暴れ回るアレです。
僕はまあまあ田舎に住んでいるんですけども、最寄駅から家までの道のりにセミファイナル危険区域があり、8月の後半ともなると等間隔でセミが歩道に横たわっております。
地雷原かな?
地面に横たわるセミを見つけると、本当に死んでいるのか、それてもセミファイナルが起こるのか、そこにサスペンスが生まれます。
サスペンスは僕の心臓をドラマチックに盛り上げ、セミファイナルを引いた瞬間、ホラー映画さながらショックが僕を襲います。
身が持ちません。
と言うわけで今回セミではなくサメ映画『ディープブルー2』の感想に行ってみたいと思います。
感想・解説・考察
●大爆死映画
20世紀の終わり1999年に『ジョーズ』(75)以来?のサメ映画の傑作『ディープ・ブルー』(99)が発表されてから早19年、満を辞して続編『ディープ・ブルー2』(18)が登場!
サメ映画といえば竜巻に乗って人々を襲う『シャークネード』(13)を旗手に、頭が2つある『ダブルヘッドジョーズ』(12)や、砂浜を泳ぐ『ビーチシャーク』(11)、火を吹く『シン・ジョーズ』(16)など独自の路線を切り開くトンデモ展開を見せる一方、『ロスト・バケーション』(16)や『海底47m』(17)など硬派な路線を守る作品も展開されるなど、1ジャンルとして気付きつつある界隈。
そんな傍ら亜種中の亜種、『ザ・ビースト/巨大イカの逆襲』という傑作もあるが、VHSでしか国内にはなく価格も高騰しているのでどうにかして欲しいと思ってます。
話はそれたけど『ディープブルー2』ですね。
いやー久々に見たわ。爆死映画。
何が死んでるって全てが死んでるよね。
一応あらすじを書いておくとこんな感じ。
フカヒレのために密猟をしていた二人組を調教されたサメが襲い、二人は海上に身を投げ出される。
うち一人は四肢を食いちぎられ、意識がある中泳ぐこともままならず海の底へと沈んでいく・・・。
と、これはフカヒレのためにサメを密猟する社会問題に対する風刺で、ヒレを切り取られ生きたまま海に捨てられるサメと人間の立場が逆転している演出。猿と人間の立場が逆転した『猿の惑星』(68)的なホラー感があるよなぁ。
しかし本作はここがピークです。
多分開始5分あたり。
ここから先はディープな海の底へとトップスピードで沈んでいきます。
密猟2人組を襲ったサメは近くの研究施設から脱走したサメで、元ネイビーシールズのトレント・スレイターによって海底の研究施設まで戻されるわけですが・・・
施設の入り口ちっさ。
予算ないんか?
海上に浮かぶ研究施設の入り口は、ちょっと金持ってる養殖場くらいなら作れそうな浮島で、建物といえば漁師の小屋くらいの代物しかなく、ヘリポートすら設置されていません。
次のシーンに映ると海底施設を見せたエスタブリッシングショット(背景ショット)が写されますが、海底の施設はCGでどうにでもなるし、水というフィルターがかかっている上、薄暗くてOKなので安上がりなCGでもそれなりに見えるんすよな。
対する海上のショットとなると、CGで誤魔化すことは難しくなるので、予算の底がすでに垣間見えてしまうのです。
惨劇の直前、施設に集められるのは多分デカパイがセールスポイントのサメ保護活動家のミスティ・カルフーン博士(ダニエル・サブレ)と科学者のダニエル・キム夫婦の3人なんですが、このダニエル・キム夫婦に科学者のかの字も感じられず、ひいては旦那からは俳優のオーラすら感じられないのである。めっちゃエキストラにいそう。
さらに多分主人公的ポジションのミスティ・カルフーン博士演じるダニエル・サブレという女優さん、もちろん本作で初めて見たけど多分セールスポイントはデカパイで、サイズ感ギリギリのジャケットを羽織って施設に登場する。ジャケットのサイズをワンサイズあげて欲しいです。
とまぁデカパイについては冗談まじりで観賞していたのですが、彼女がウェットスーツに着替えた時、ちょうどパイが至高に映る位置でチャックを止めた瞬間、確信に変わりました。
冷えちゃうからちゃんと着て欲しい。
施設の主で製薬会社の大富豪カール・デュラント(マイケル・ビーチ)の悪巧みを窓越しに聞いていたサメは反旗を翻し、オスを利用して施設を破壊。無事人間どもを恐怖のどん底に突き落とす。
ここでもちょっと──というかだいぶ気になるシーンがあって、麻酔で眠ったサメの喉に付着しているDNAを採取するため、素手のままサメの口に突っ込むのです。
す、素手?
仮にも大富豪が運営する施設な訳で、もっと機外的な何かはないのだろうか・・。百歩譲っても長い棒でやって欲しいし、専門家もなんとか言って。
ようやくここからサメと人間の壮絶なバトルが始まるわけですが、ここからメインで扱われるサメはまさかの小ザメ。
発想は面白いけど、巨大な親ザメたちはビタイチ登場しなくなってしまうのです。
予算無いな。
子ザメに食いちぎられるゴア描写は中々良かったけどね。
●
本作は典型的に1作目がカルト的人気でヒットを飛ばし、その数年後に予算をだいぶカットして制作された作品で、例えるなら『スターシップトゥルーパーズ』(97)における『スターシップトゥルーパーズ2』(04)と言った感じ。
ただ予算が無いなりにアイディア次第で、如何様にでも面白いものにできることはできる。
本作で絞ったアイディアはほぼ子ザメの一点で、あとは1作目の『ディープ・ブルー』を思考力ゼロでなぞっているだけに過ぎない。
キャラクターたちのポジションもほぼ同じで、舞台やセットもほぼ同じ。さらには脚本の筋運びまで前作をなぞっているんです。
似たような作品は世の中に数多にあるが、これらがかろうじて見れるのは前作からスケールアップしているからに他なりません。(多くの場合は物量で攻めてくる)。
それなのに本作の場合全てに置いてスケールダウンしてしまっているため、見るに耐えない状況になってしまっているのです。
キャストだけでいうと、前作の場合はトーマス・ジェーン、サミュエル・L・ジャクソンにLL・クール・J、さらにはステラン・スカルスガルドまでいて、改めて並べると中々な布陣でした。
にしても最後の最後でサメを打ち抜く二人のポージングはなんでしょう。スパイ映画のたたずまいでした。
ポージングなんかしてないでとっとと撃ちなはれや!
スタッフ
- 監督:ダリン・スコット
- 制作:トム・シーグリスト
- 脚本:ハンス・ディオノフ、エリック・パターソン、ジェシカ・スコット
- 撮影:トーマス・キャラウェイ
- 編集:マイケル・トレント
- 音楽:ショーン・マーレイ
キャスト
- ミスティ・カルフーン博士:ダニエル・サブレ
- トレント・スレーター:ロブ・メイズ
- カール・ディラント:マイケル・ビーチ
- レズリー・キム:キム・シスター