「カルビンは行きすぎた好奇心が生んだ弊害だ。」
──ジェイク・ギレンホール。
最近、寒いですねー。
インフルエンザが過去最多の勢いで猛威を振るっているらしいので、是非お体にはお気をつけくださいね!
それはそうと我が家は空前のアナ雪ブームでして、日中はアナ雪 or しまじろうの二択なので、画面に釘付けになる二人のチビを横目に鼻をほじりながら付き合っています。
そんな我が家で限られた深夜の時間をフル活用した「ライフ」の感想を余すことなくお届けいたしますので…
読んでいってもらえたらすげー嬉しいっす!
ちなみにジャンル映画とは、ジャンルの分類が容易な娯楽映画のことを言います。
ではサクッと作品情報〜感想までどうぞ!
この記事はブルーレイに収録されている特典映像を参考にしています。
作品情報
ライフ
原題 :LIFE
上映時間:104分
制作年 :2017年
監督 :ダニエル・エスピノーサ
不勉強ながらこの監督の作品は初めて鑑賞します。
デンゼル・ワシントン主演の「デンジャラス・ラン」、トム・ハーディを主演に迎えた「チャイルド44森に消えた子供たち」と、それなりに予算高めの作品を手がけていました!
特にロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)さん大好きだから近いうちに「デンジャラス・ラン」は鑑賞してみようかなって思ってます!
ちなみにロバート・マッコールさんについては近日記事を出しますので、誰だそれと思った人は数日後にまた覗きに来てくださいな。
キャスト
ジェイク・ギレンホール
レベッカ・ファーガソン
ライアン・レイノルズ
真田広之
「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホール
「ミッション・イン・ポッシブル」のレベッカ・ファーガソン
「デッド・プール」のライアン・レイノルズ
このてのSF、モンスターパニックモノだとまず間違いなく、誰が死んで、誰が生き残るかって予想しますよね。
これだけ有名キャストだと、マジで生死の予想がつかないっすよね。これはうまいキャスティングだなぁ〜なんて思いました。
いや、真田さんも大好きなんだけど、やっぱこのメンツだと…死にそうじゃん。
あらすじ
火星で未知の生命体の細胞が採取され、世界各国から集められた6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで極秘調査を開始した。しかし、生命体は次第に進化・成長して宇宙飛行士たちを襲いはじめる。高い知能を持つ生命体を前に宇宙飛行士たちの関係も狂い出し、ついには命を落とす者まで現われる。(以上、映画.comより)
感想
まずですね、本編と全く関係ないんですが、一つだけ言わせて!
4KUHDの映像がむちゃくちゃ綺麗!!
宇宙モノと4KUHDってそれだけで相性がいいんですが、今回も例外じゃなかったです。
冒頭に地球の地平線から太陽の光が差し、徐々にISSを照らすシーンがありますが、特にここは綺麗でした!
まさに息を飲むとはこのことで、逆光が生み出す光りと影のコントラストがとてつもない美しさを放ってましたよ!
ただ、他のシーンは全体的に暗いのが否めないんだよな…UHD。4Kプロジェクター、もっと安くして!!
ジャンル映画の教科書として
シンプルに面白い!!
よっ!ジャンル映画!って感じですね。
まず設定の勝利。
実際に存在するISSという環境で、もしかしたら本当に起こりそうな、ギリギリでリアリティを感じられる設定ですね。
国際宇宙ステーション(通称ISS)は、アメリカ合衆国、ロシア、日本、カナダ及び欧州宇宙機関(ESA) が協力して運用している宇宙ステーションである。(Wikipediaより)
同じ火星からの脅威でいうと『マーズアタック!』とは正反対のリアリティだと思いますねw
というかパニックモノとして、オチも含め教科書的な作品なんじゃないでしょうか?
まず冒頭。
なんかよく分からないけど張り詰めた緊張感…
じわじわとワンカット風で進むので余計に緊張感が増し、ようやく事態を理解できたタイミングで突然やって来る危機的状況。
このシークエンスでとりあえず集中力は映画にもってかれました。
掴みオッケー!です。
続いて地球の子供達とISSクルーが交信するシーンなんですが、ここがまた上手いんですよ。
「あっ。俺今説明されてる。」
ってなるでしょ。
要はISSクルーと子供達の交信という《ありそうな展開》を利用して、実は映画を見ている観客に対してクルーを一人一人、どんな人物か説明しているんです。
こういうメタ的な説明シーンの手際がいいと、みていて気持ちいいです。
そのままの流れでクルー同士の人間関係とか、クルーのバックヤードを説明するあたりも自然かつ無駄がなく素晴らしいですね。
ローリーがヒューを助けるためにいち早く飛び込む動機とか、後半にあるショウ・ムラカミの葛藤とか、6人が抱えている不安や悩みみたいなものが自然と説明されているため、その後彼らが取る行動に対して、この手のジャンルでは避けられない《バカっぽさ》を薄めてくれていると思います。
「なんで、一人で行くかなぁ〜」とか「だから言ったじゃん」みたいなことを思ったことはありませんか?ここで言っている《バカっぽさ》とはそう言った《バカっぽさ》のことです。
また宇宙生物学者が不治の病を患っているとこなんかも教科書通り!!って感じですよね。
絶対やりすぎるに決まってるでしょ。動機としては納得しちゃいますもん。
ヒューの好奇心こそ、物語のターニングポイントであり、ある意味当然の好奇心─。つまりは誰でも起こしかねないこと。なんですね。
というか、特典映像の中に割と重要なシーンが隠されていたんですが、隔離ラボで事故が起こりますよね?あれ、ヒューがわざと起こしたんじゃないかと確信せざるを得ないシーンが入ってるんですよね。
そう思うとヒューが見せる一連の表情に、より深みを感じれると思います。
教科書にちょっとスパイスを
ただどこもかしくも教科書通りかというと、そういうわけでもなく。
なんと言っても最初の犠牲者です!
えっ、お前最初に死ぬの!?!?
じゃ次から誰がもはやわかんねぇわ!
ってなりましたw
お陰である種こういうジャンル映画には必要不可欠な、”ハラハラ”という推進力はほぼ保たれたままエンディングを迎えることができたと思います。
特に日本人ならショウ・ムラカミこと真田広之が死んでしまうのか…?
いや死んでしまうだろうけどそれはいつなのだろうか…?
ココが今作MVPハラハラポイントでしたよ。
実際、クルーの中で誰よりも人間味溢れていて、誰よりも地球に帰してあげたいキャラだったと思います。
だからこそのあの仕打ちなんでしょうけどね…w
ちなみに真田さんは全編無重力を実現させたワイヤーワークがキャスト勢の中で誰よりも上手く、皆が真田さんを参考にしたなんて話も聞きました。
あと、元々は誰よりも若手クルーとしてオファーが来てたみたいですね。
それはちょっと僕ではないんじゃないですか?と監督と話し合い、結局は一番ベテランの役になったそうです。
ここら辺は真田広之インタビューとして短いですが特典に入っているので機会があれば是非。
カルビンの脅威度について
カルビンがいよいよ牙をむき出してから始まる危機的状況と、ブレイクタイムのバランスなんかも申し分なく上手いなぁーー!と思うんですが…
決定的に欠けている要素がひとつだけありました…!
それはカルビンの脅威感です。
確かに圧倒的な生命力と凶暴性をもっていて、人間にとって脅威であることには間違いありません。
ただ、地球レベルで考えた時─。
カルビンがどれほどの脅威なのか、ちょっと分かりづらいんですよ。
ここ、”分かりづらい”ってところが重要だと思うんですが、異常な繁殖力が示されているわけでもなく、感染力の強い死のウイルスというわけでもなく、とりあえず劇中でわかっていることは、血を吸って形を変えながら”巨大化していく”くらいですよね。
どんどん巨大化して、イェーガーが必要になる程巨大なKAIJUになるんだというなら話は違ってきますしw
どう進化していくか分からない分、脅威として伸びしろはあるし、検疫官的な仕事をしている人からしたら、「だからこそ地球に入れてはいけないんだ!」ていうことなんでしょうが…。
観客のほとんどは検疫官ではなく、割と多くの人が“分からない”ことに対して”楽観的”、”客観的”に考えてしまいがちなわけで。
「いやいや、分からないからこそ怖いと思うぞ!」という方は危機管理能力が高い人だと思うし素晴らしい才能だと思うんですが、映画的に考えた時、どうして隔離が必要なのか明確に示された方が万人が、
こいつはヤベェ…。
って感じることができるでしょう。
例えばリドリー・スコットの『エイリアン』なんかはそれがめちゃくちゃ分かりやすいですよ。
特に2,4で圧倒的な繁殖力を見せつけられていますからゼノモーフが地球で溢れたらそりゃやばいに決まってます笑。
勘違いしないでいただきたいのは、本作で語られる隔離についてやりすぎだと言っているのではなく、むしろ至極当然かつ適切な処置です。
ただ映画としてこの部分にハラハラが欠けていたかなと。
あと小さいところでいうと、カルビンの主観ショットがなぜかノイズになってしまいました。
本来モンスターパニックモノは『ジョーズ』を代表に主観ショットが非常に効果的なんですが、カルビンの場合得体の知れない感が恐怖を煽っていた分、主観ショットで得体が少し知れてしまったというか、意志を感じられてしまいノイズになってしまったのかな~とか思っています。もしくは単純に主観ショットの視覚効果がチープだったからかな?w
あとISSの見取図的な説明がしっかりあっても良いかな。
実際のISSを忠実に再現されているので調べればわかることなんですが、せっかく序盤の説明シーンの手際がいいので一緒に盛り込まれて入れば、もっとハラハラが倍増するシーンがきっと有ったことでしょう。
やっぱりオチ最高
細かいことを言ったら他にも色々あるんですが、なんと言ってもラスト!最高でしたね~。
脱出からのシーンは途中まで二人の位置関係分かりづらくて下手だなーとか思っちゃっていたんですが、大気圏突入したくらいからですかね、『あ、やられた~~』って気づきましたよ。
オチがアレですから意図的に分かりづらくされていたんですね。気づくの遅すぎました。
で、オチの後味の悪さ。
それに拍車をかけるようなBGM。
これこそ、
こ!れ!こ!そ!
この映画の教科書的結末だと思います。
不安を煽る型BGMが良いですよね~。
もう『うわぁ…。』としか思わざるをえないですもんね。
個人的には生きることを選んだミランダのあの断末魔…。しばらくなんとも言えない余韻として残っていました。
あと言わずもがな全般ワイヤーワークを駆使し、無重力として撮影されているんですが、俳優陣が口を揃えて無重力の演技をしながら感情を込めて演技するのがとにかく難しいとおっしゃっていました。
少数精鋭の演技派俳優陣のおかげあって、ここまで話に説得力を生み出してくれた作品であることは間違いないでしょう!
いやー良いものを見させてもらった!
最後まで読んでいただきありがとうございました!